日立金属、成長事業に積極投資 安来工場に80億円超、有機EL需要増に対応

 日立金属の平木明敏社長は25日、決算説明会見で主要事業の中期見通しなどを語った。安来工場の新たな投資計画も明らかにした。特殊鋼カンパニーの電子材・電池材では2020年度までに約200億円の戦略投資を実施する計画。このうち有機EL(OLED)関連製品の需要立ち上がりで背面板(鉄ニッケル合金板)やターゲット材の需要拡大が見込まれるため、主に背面板関連で80億~100億円規模の設備投資を検討していることを明らかにした。

 17年度の連結設備投資が900億円と過去最高に達することにも触れ、(新たなM&Aを織り込まない)「オーガニックグロースで18年度に調整後営業利益1千億円超を達成する」と強調。今上期の調整後営業利益は322億円で通期予想の800億円達成は厳しい状況だが、「工具鋼、産機材、磁性材料など主要製品の需要増、電子材料の回復と新製品立ち上げ、価格是正の確実な取り組みと価格戦略の強化で目標達成を目指す」と述べた。

 数量急増に伴う製造コストの増加で収益が悪化してきた耐熱鋳造部品「ハーキュナイト」については、「モノづくり改善は進んでいる。価格是正と数量抑制をお客様にご相談し、来年3月までには収支均衡状態を実現する」と強調した。

 電線材料ではマグネットワイヤ事業の拡大に言及。18年度稼働予定の新型連続鋳造圧延ラインで製造する独自材料のHiFCに期待しており、高い導電性や柔軟性でxEV用モータ向けのニーズに応える。現在マグネットワイヤの事業規模は約300億円。1・5倍に拡大する目標を掲げているが「2~3倍に増えることもあり得る」と期待を示した。

 軟磁性材料では、電気自動車、ハイブリッド車など次世代車に搭載される軟磁性部材として「当社はファインメット、アモルファス金属、ソフトフェライトを持ち、珪素鋼板以外の全ての軟磁性材料をそろえる。エンジン材料は当社の主力製品だが、xEV需要の拡大も大きなビジネスチャンスになる」と強調。軟磁性材料の事業規模を「現在の300億円からいずれ1千億円に伸ばしたい」と述べた。

 配管機器事業については「隠れた優等生であり、キャッシュカウにしていく」と述べた。

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