JIS認証機関の神鋼拠点検査、一般材市場に悪影響の可能性も

 神戸製鋼グループの20拠点をJIS認証機関が検査を実施することを受けて、神鋼製のアルミ圧延品や伸銅品を扱う流通・問屋は情報収集を急いでいる。仮にすでに疑義が浮上している銅管以外の伸銅品やアルミ圧延品でJIS規定に抵触する事態となれば、店売り一般材市場においても悪影響が出る可能性もある。

 8日時点で神鋼は「民間契約に関する部分のみが問題」としてJIS法上の違反はないと説明していた。しかしながら20日に銅管を製造するコベルコマテリアル銅管秦野工場で「JIS法令違反の恐れがある」と発表。JIS認証機関のJQAは秦野工場の品質管理体制に問題がある可能性を示したほか、16年9月以前に出荷した製品でJIS規格を満たしていないものがあると指摘した。

 こうした一連の問題を受けて世耕弘成大臣が24日、JIS認証機関に検査の検討を指示した。アルミ・銅事業部門では真岡製造所、長府製造所(アルミ押出工場)、神鋼アルミ線材、コベルコマテリアル銅管秦野工場が順次検査を受ける見通しだ。

 流通・問屋は、8日時点の神鋼からの報告を前提に、取引先に対して『アルミ厚板やアルミ丸棒、銅管などの店売り向け材料は問題がない』と説明している。検査の結果によっては、これまでの説明の前提が崩れ「在庫している神鋼製材料の販売から、他メーカーのJIS規格品に切り替えられる可能性もある」(神鋼材を扱う流通筋)との懸念が浮上している。

 今回のJIS問題を受けて神戸製鋼の信頼性がさらに低下するとの見方がある一方で「認証機関から〝問題ない〟というお墨付きが出れば市中に安堵感が広がる」(別の流通筋)との声もある。「いずれにしても、どのメーカーの材料を採用するかは顧客次第。我々としては情報収集を急ぎ、顧客への説明活動を進めていくしかない」(同)としている。

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