毎週のように台風が!事前の情報収集に加えて、被災した後にやることもチェックしておこう! 被災者支援チェックリストとダウンジャケットの意外な共通点?

各地で被害をもたらした台風21号。あなたの地域は大丈夫でした?(※画像はイメージです。Photo AC)

台風21号は、各地で被害をもたらしました。後日談として、あと1時間長く雨が降っていたら氾濫していたという地域のお話も行政の方からお聞きしました。また、危機管理課や防災課の職員の方も開票作業に行くことになっていた地域もあり、被害がなかったからよかったものの、それでよかったのかという声もお聞きしました。

夜中の避難勧告などは行政も躊躇(ちゅうちょ)してしまいます。想定外の豪雨も夜間に急にある昨今です。雨雲レーダーや、川の水位情報は自分でも確認できます。情報を収集できる人は、避難の判断を他人まかせにしないという事を選択できます。

今週末また台風が・・という話も出ていますので、あらためて、サイトをチェックしておきたいですね。

私は、「初めて防災の話を聞く」という方に多く講演しています。残念ながら、防災・減災に従事している方でない場合、豪雨災害で雨量についてたくさん報道された後であっても「1時間に100mmで逃げますか?」と質問しても、逃げないという反応される方が多いと感じています。

まずは具体的なイメージを持って欲しいです。以前紹介した図は小学生が大声をだして喜んでくれる図を掲載しています♪

■これは逃げたくなる!100mm/時の雨の重さってどのくらい?
車が水没した時、割れやすいのはどこのガラス?
http://www.risktaisaku.com/articles/-/1892

河川の氾濫情報も自分で調べられるので、川の近くの方は必見です。

出典:川の防災情報(国土交通省) https://www.river.go.jp/kawabou/ipAreaJump.do?gamenId=01-0201&refineType=1&fldCtlParty=no

出典:土砂災害や竜巻情報(気象庁) https://www.jma.go.jp/jp/doshamesh/

土砂災害警戒情報・土砂災害警戒判定メッシュ情報の発表例(出典:土砂災害や竜巻情報(気象庁)http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/doshakeikai.html#d

都道府県もよいサイトを作っていますが、住民がそのサイトを知らないという声も多くて残念です。周知方法って課題ですね。

こちらは和歌山県ホームページ内にある「和歌山県河川/雨量防災情報」。右下の長靴のような部分を見ていただきたいのですが、この最も外側の長靴のラインを超えると、土砂災害警戒避難情報が行政から出されます。ですので、この図を見ながら、行政がいつ情報を出すかイメージしやすくなっています。

和歌山県河川/雨量防災情報 http://kasensabo02.pref.wakayama.lg.jp/

 

さらに、長靴の内側のラインは、震度5強と5弱の地震があった場合、土砂災害警戒避難情報が通常よりも早く発せられることがわかります。この図の10月25日にもし、震度5弱の地震があったのであれば、すでに土砂災害警戒避難情報が発せられるということがわかります。

地震と雨量を連動させつつ土砂災害警戒避難情報がいつ出されるかということが、誰でもわかるようになっています。

行政が警報を発しないと避難できないというのではなく、自分でも判断できるようになっておきたいですね!ただ、判断できても「この程度で逃げるなんて恥ずかしい」という気持ちが生まれると、ぎりぎりまで待とうとされる方も少なくないです。

避難所に行って支援されるだけでは気が重くなってしまうものなので、避難所に早く来た人に手伝ってもらいたいことが事前にわかっていると、気兼ねなく行けるのかなと思ったりしますが、どうでしょう。今後の課題の部分だと思っています。

被災後に何をしなければいけないか。チェックリストを確認してみよう!

さて、次は被災後。

被災した後にどんな支援手続きがあるのかということは、目の前で起こっている現実に処理に追われて、実際には情報入手が遅くなりがちです。ですので、平時である今こそ、しっかり確認していてほしいです!

こちらの被災地支援チェックリスト、当初は支援に入る弁護士の先生むけにまとめられたものだったのですが、複写フリーでわかりやすいと評判です♪

写真を拡大 被災者支援チェックリスト(出典:関東弁護士連合会)

http://naganokai.com/wp-content/uploads/2017/10/ab06819c6a1f2887f0ed64edebd3b4d6.pdf

チェックリストの製作者は静岡市清水区の弁護士、永野海氏です。作成の動機をお聞きしてみました!

「災害で大きな被害(家屋全壊や家族の死)を受けても絶望せず、生活再建、住宅再建を諦めず、なんとなるかもしれないという希望をもってもらいたい。そのために、さまざまな支援制度の存在を伝えたい」

そのような想いから作成されたとのことです。そして、コンパクトにされた理由は、

「 関係者の努力によって東日本大震災以降、特に熊本地震以降、支援制度情報の被災者への周知が重要だということが、行政にもかなり認識されてきました。 内閣府もすばらしいリーフレットを作りましたし、熊本県や熊本市もすばらしい情報冊子を作っています。 他方、よりコンパクトなもの、具体的にはいつも財布に入れておけるようなものがあったほうが、多くの被災者や、将来被災者になるかもしれない人たち、あるいは被災者を支援する人達に広く普及するのではないかと思いました」

とのことです。防災関係の方はもちろん、一人ひとりがこの情報をすぐ使いこなせるようになればと思います。

発災後の混乱する行政に問い合わせても、すでにいっぱいになってしまっている行政の業務を増やすことになるので、効率も悪いですよね。

地域の方むけに防災講座をしていると、権利証や通帳、印鑑は持って避難する、紛失すると権利を失うと考えている人は多いのだなと実感しています。なくても本当に大丈夫なのかという質問も、いまだにあります。東日本大震災で津波がくるなか、これらを取りに戻ってしまって命を失われた方もいたという報道がされていたにも関わらず、周知されていないようです。

このリストには、ちゃんと「権利証や健康保険証などの紛失」という項目があって、以下のように簡潔に説明されています。

「不動産の権利証、預金通帳、実印などを紛失しても権利を失うことはありません。預貯金については金融機関にご相談を。また、健康保険証が手元になくても、氏名、生年月日等を医療機関に伝えれば保険診療を受ける事ができます」

その他、「お金の支援制度」は、「もらえる」「借りられる」とわかりやすい言葉で書かれていたり、「こども・教育の支援制度」には「小中学校の就学援助措置」があったりするなど、ざっと見て、すぐわかるのがありがたいです。救済制度があるかないかがそもそもわからないと手続きしようがないですが、あることさえ分かると詳細は調べられますからね!

行政が発行している防災リーフレットの情報が古くなっていると、「被災ローン減免制度(二重ローン対策にも)」という部分が書かれていない事もあります。このリストを切り取って、保管しておかれること、おすすめします!

さて、このような災害後に役立つ情報を書いていて、このごろ実感していることがあるので、余談っぽいですが、今、お伝えしなければならない時期なので、一言!

ダウンジャケットも、季節が終わった後の手入れが大事!

寒くなってくると、ダウンジャケットの人が増えますよね。ダウンを気軽に着るかた近年増えました。だから、注意していただきたいのです。去年、ダウンを着たけど、洗わずしまって、寒くなったからそのまま出して着てる方!絶対いますよね。

ダウンのにおいがすごいことになっていますー!!例えるなら、動物っぽい香りというか・・・。シーズンが終わったらお洗濯してほしかったですが、着る前の今からでもいいです。ぜひ、洗ってから着ていただくことをおすすめします!!

こじつけっぽいですが、ダウンも災害も後の手続きが大事なのです!汚れが多いと匂いもすごいですが、ホコリでふわっとならなくなってしまうと、空気をつかみにくくなって暖かさも落ちてしまいます。

洗い方は洗濯表示を確かめてみてください。家庭で洗えるものも多いです。ダウン・洗濯で検索するとたくさん紹介されています。ポイントは、濡らしても、羽が空気をふわっとつかむよう復元させるための手順を踏むということです。

ダウンが断熱材である動かない空気の層を作るから暖かくなる機能についての説明はこちら。雨の際にダウンが濡れると暖かくならないので、台風の際は着ないでくださいね。詳しくは以下の記事を読んでみてください。

■ダウンジャケット、たくさん服を着こんだ上に着てませんか?
ダウンは体温で温めて羽をふくらませるもの。肌に近い方が暖かい!
http://www.risktaisaku.com/articles/-/2109?page=4

アウトドア性能を維持させるための、ダウンの油をとりすぎないダウン専用の洗剤もあります。(画像提供:あんどうりす)

だからダウンは、脱水は不可で、影干しや乾燥機による乾燥が勧められています。ダウンが本来持っている油を落としすぎないよう、専用洗剤もありますが、普段着程度のダウンですと、いつもの洗剤でも洗えます。

ということで、ダウンの着方も災害も事前・事後の手続きお忘れなくという今週の話題でした♪

(了)

© 株式会社新建新聞社