【神戸製鋼のデータ改ざん問題】川崎社長などの一問一答

 神戸製鋼所の品質データ改ざん問題をめぐって26日の記者会見に出席した川崎博也会長兼社長、山本浩司常務執行役員らとの主なやり取りは以下の通り。

――新たに判明した不適切行為4件と、不適切行為の有無の確認が必要な案件とは。

山本「神鋼造機による鋳物の用途は当社の機械事業部門向けの部品。部品の検査データの一部をねつ造していた。減速機は組み立て後の部品寸法の測定点数を一部省略していた。ただ組立前に測定はしている。機械事業部門は部品表面に薄膜をつけるコーティングサービス事業で測定値を補正し出荷していた。コベルコ科研は既公表案件とは別でサンプルの分析結果を一部改ざんしていた」

川崎「不適切行為の有無の確認が必要な案件は、鉄鋼海外事業会社の案件で建設用。まだ不正かは分からない。最近分かり調査はこれからだ」

――残り88社向け不正品の安全性は。

川崎「まだ確認できていない。安全性確認の分類レベルA~Cに入らない。一番多く残っているのは神鋼メタルプロダクツの案件。電炉メーカーが使うモールド用の鋳型だ。モールドの安全性の確認作業は進んでいる」

――費用請求の要請は。契約打ち切りはあるのか。

川崎「契約取り消しは具体的にはない。早期の取り替えは必要ないと言っていただいている。ただ将来は交換が必要だと一部の取引先から言われている。今後もこうした要求があると思う。これによる業績影響はまだ見通せない。来週の業績発表では何らかの見通しを出したい」

――新たな案件が出てくるのはうみを出し切ろうとしているからか。

川崎「一連の点検、監査のなかでうみが出ていると感じている。今後は外部調査委員会に検証していただく」

――JIS認証の取り消しは何に違反したのか。

川崎「取り消し理由は2点。一つは品質マネジメントの問題。この1年でJISの公差内であっても数字を触っている。加えて、JQAの監査で2014年10月分に規格外れがあった」 

山本「機械物性、引っ張り強度など物性値を改ざんした」

――JIS認証取り消しによるビジネスへの影響は。

山本「JIS品を販売できなくなる」

川崎「コベルコ銅管のJIS品は全体の4割強で2万4千トン。JIS品は販売できないが、JIS相当品で大丈夫というユーザーもいるかもしれない。これから事実を開示する段階で、現時点で具体的な影響は分からない」

――ほかの19拠点のJIS違反の可能性は。

川崎「かなり厳しく検査したので、ないと思うが、100%ないとは言えないと答えざるを得ない」

© 株式会社鉄鋼新聞社