クラフトビール醸造で障害者雇用 多様な味、京都で注目

ビールを醸造する一乗寺ブリュワリーの醸造士。「寒くなる冬場はビール造りにも適しています」と話す(京都市左京区)

 醸造所ごとに多様な味を楽しめる「クラフトビール」で障害者の雇用を創出する動きが、京都市内で相次いでいる。上京区で障害者の生活介護事業所を運営するNPO法人「HEROES」(ヒーローズ)は今夏、酒造免許を新たに取得した。国際コンクールでの受賞歴も多い左京区の醸造所「一乗寺ブリュワリー」は、大麦栽培などで障害のある人と協力する道を探る。ファンも多いクラフトビールの新たな可能性が注目を集めている。

 10月1日、西陣産業会館(上京区)の一角で、ヒーローズの「西陣麦酒醸造所」オープンを祝う会が行われた。第1号のビールは、ユズの香りと爽やかな苦みが特徴の「柚子無碍(ゆうずうむげ)」。醸造所には瓶詰め機も備える。11月中にはインターネットなどで販売を始める予定で、今後は瓶詰めやラベル貼りが施設利用者の新たな仕事となる。

■小さな事業所でも

 ヒーローズは、2013年の開設当初から自閉症や発達障害の人を積極的に受け入れてきた。理事長の松尾浩久さん(38)は、「コミュニケーションの難しさなどもあり、本人に適した就労先が見つかりにくいことも多い」と、実情を語る。

 安定した収益を上げられる自主製品の開発を考え、クラフトビールに目を付けた。取り組む障害者施設がまだ少ないことに加えて、酒税法上の区分は「発泡酒」に当たるため、年間に製造が必要な量はビールの10分の1の6キロリットルで足りる。「設備も小規模で済み、小さな事業所でも参入しやすい」という。

 松尾さんは、準備の段階で全国10カ所以上の醸造所を見て回り、ビール造りのノウハウを学んだが、特に頼りにしたのが11年に始動した一乗寺ブリュワリーだった。

 精神科医の高木俊介さん(60)と、飲食店経営者の伴克亘さん(52)の異色コンビが経営する同ブリュワリーは、世界中のビールが集うコンテスト「インターナショナルビアカップ」で昨年初受賞し、今年は念願の金賞を獲得した。

■広い連携目指す

 2人が目指すのは、質の高いビール醸造に障害のある人が関わる仕組みづくり。今回、松尾さんに共感し酒造免許申請の手続きなどで積極的に協力した。

 同ブリュワリーも、設立当初は醸造所での直接雇用を考えたが、高木さんは「もう少し広い連携を今は目指しています」。例えば、原材料の大麦から自分たちで作れば、栽培や加工の段階で障害者の事業所と協力できる…。「方法は違っても、障害者の自立を目指す思いは西陣麦酒と同じ」といい、「障害の有無を超えて協力し合い、楽しくビール造りができれば」と将来の夢を描く。

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