いきなり屈指の強打者と対戦する重圧 成功したソフトBの「1番・柳田」

ソフトバンク・柳田悠岐【写真:藤浦一都】

日本Sも連勝発進、CSファイナル最終戦から復帰した柳田の活躍が光る

 日本シリーズは、ソフトバンクが本拠地でDeNAに連勝した。打線も、投手陣も機能しているソフトバンクだが、特に目立つのが1番に座った柳田悠岐の活躍だ。

 柳田は、パ・リーグを代表する強打者だが、9月20日に右わき腹を痛めて登録抹消になり、そのままシーズンを終了。CSに間に合うか懸念された中、工藤公康監督は10月22日のCSファイナルステージ最終戦で柳田をいきなり1番で起用した。

 以後の柳田の成績。

◯10月22日CSファイナルステージ第5戦
 1番(中)4打数2安打1得点1打点

◯10月28日日本シリーズ第1戦
 1番(中)4打数2安打2得点2打点

◯10月29日日本シリーズ第2戦
 1番(中)4打数2安打2得点1打点

 3試合すべてで2安打ずつを打ち、得点、打点を挙げている。長打はなくすべてシングルヒットだが、打率5割、5得点、4打点は強烈だ。特に第1打席では、遊撃内野安打、中前打、右前打とすべて安打で出塁。そして後続の安打ですべて本塁にかえっている。柳田が起点となって、速攻で先取点を入れているのだ。

 試合開始早々、リーグ屈指の強打者といきなり勝負しなければならない先発投手のプレッシャーは大きい。歩かせるわけにはいかないし、長打も警戒しなければならない。これに対し、柳田は力まず、塁に出ることを心掛けてバットを振っている。

1番打者の条件は全て満たしている柳田

 この打線が組めるのは、4番に内川聖一が復帰し、デスパイネと強力な中軸を組むことができているからだ。2人ともに打撃好調。新打線は見事に成功した。

 188センチの大型選手の柳田だが、中軸打者に定着したのはトリプル3を記録した2015年から。それまでは2番を除く全打順を打っている。

◯柳田の先発打順別通算打撃成績

1番 8試 32打14安1本4点 3盗 打率.438
3番 361試 1301打436安78本267点 72盗 打率.335
4番 55試 197打55安9本29点 2盗 打率.279
5番 51試 196打45安2本14点 8盗 打率.230
6番 62試 220打77安9本28点 15盗 打率.350
7番 90試 308打87安12本49点 13盗 打率.282
8番 24試 81打20安0本3点 2盗 打率.247
9番 4試 13打4安1本1点 2盗 打率 .308

 柳田は2014年に6試合、2016年に2試合、1番で起用され、打席数は少ないが、全打順で最も高い.438の高打率をマークしている。盗塁も3つ。リードオフマンは苦手ではない。

 柳田悠岐は、もともと足が速い上に、選球眼も抜群、安打を打つ能力も高い。1番打者の条件はすべて満たしているのだ。

「1番柳田」は、日本シリーズならではのぜいたくなオーダーではあるが、これが見事に功を奏した。DeNAは、先頭の柳田を抑える対策を早急に立てる必要があるだろう。

(Full-Count編集部)

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