【MLBプレーオフ】投手受難のWS、両軍計22本塁打は新記録に 豪腕はボールが「滑る」と主張

アストロズのバーランダー【写真:Getty Images】

バーランダーが公式会見で主張「1人の投手が言っていることではない」

 アストロズは29日(日本時間30日)、本拠地で行われたドジャースとのワールドシリーズ(WS)第5戦に延長10回、5時間17分の死闘の末に13-12でサヨナラ勝ちした。両軍7本の本塁打が飛び出す乱打戦で今シリーズでの両軍本塁打数は計22本となり、ついにワールドシリーズ史上最多記録を更新。今季はレギュラーシーズンでもリーグ全体でホームラン数が増加し、「飛ぶボール」は疑惑の対象となっていたが、31日(同1日)の第6戦で2度目の先発マウンドに上がるアストロズのジャスティン・バーランダー投手は、ワールドシリーズのボールは滑りやすい仕様に変更されたのではないかと主張している。

 アストロズの本拠地ミニッツメード・パークで行われた記者会見。アストロズの豪腕が「不平」をぶちまけた。

「最も不平なことは公式球がポストシーズンでも少し変わったことなんだと思う。ポストシーズンのボールとワールドシリーズのボールも違う。少し滑るんだ。それに対応しなければいけない。でも、これは1人の投手が『おい、どこか変わったぞ』と、言っていることではないんだ。誰もが話していることなんだ。少し妙だな、と。ボールを作っている人間からすれば、何も変わっていないという。その一方で、自分の全人生をかけてそのボールを握っている人間がいる。その人間がボールが変わったと言っているんだ」

 22本のホームランが乱れ打ちになっているワールドシリーズだが、ポストシーズン中に仕様が変更になったと主張。ボールが滑りやすくなったことで打者が有利となり、投手が一層不利な状況に立たされているという状況があるようだ。

不満を漏らすバーランダー「我々は一貫性を求めているだけ」

 バーランダーは、特にスライダーがコントロールしづらいと主張。この日、カーショーはグリエルにスライダーを左翼席に運ばれて同点3ランとされ、バーランダーも第2戦でスライダーをシーガーにレフトスタンドに叩き込まれた。また、第3戦で先発したダルビッシュにいたっては、最大の武器であるスライダーがほとんど狙い通りに制球できず、1回2/3で4失点と炎上してメジャー自己最短KOとなっている。

 一方、カナダ紙「トロント・スター」によると、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏は「我々の使っている公式球は規格内だと確信している」と発言したという。ボールの変化を一貫して認めていないが、バーランダーはマンフレッド氏の発言にも疑問を呈している。

 「ここ何年間の数字を見ればそれが証明していると思う。ミスター・マンフレッドは公式球に変更はないと発言していたことを知っている。それが真実でないという十分な証拠が存在することもわかっている。だが、我々は一貫性を求めているだけなんだ。ボールに細工がされていようがいまいが、自分は他のみんなが投げているのと同じボールを投げている。それ自体はフェアなことだが…」

 ただでさえ、日本の統一球よりも滑るとされているメジャー公式球。ワールドシリーズではさらにコントロールしづらいと、2011年のサイ・ヤング賞右腕は主張している。ドラマチックな熱戦が続く中、被弾を続ける超一流の両軍投手。運命の第6戦で先発予定の豪腕バーランダーは、不信感を募らせている様子だ。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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