小児医療費は現状維持 逗子市の財政対策

 逗子市は30日、2018年度の当初予算編成に当たり検討していた緊急財政対策を明らかにした。約150の事業を見直し、人件費削減などと合わせ約7億円の財源不足を補う。市民生活に直結する子育て支援や教育関連予算も対象としたが、9月の中間報告から削減幅が縮小された事業も多く、縮小が想定されていた小児医療費助成は一転、現行のまま継続することが決まった。

 同日開かれた市議会全員協議会で平井竜一市長が報告した。事業費の削減で2億6千万円を捻出する。図書館や市民交流センターの開館時間短縮など公共施設にかかる経費計約1600万円のほか、花火大会や流鏑馬(やぶさめ)実施に関わる市観光協会と市商工会への補助金それぞれ約1800万円、約390万円などが含まれる。

 一方、子育てや教育分野は中間報告からの削減幅縮小が目立つ。ひとり親家庭などへの福祉手当の段階的削減は19年度開始に先送り。特定不妊治療費助成は廃止せず、補助額を縮小して継続する。少人数指導教員などの派遣事業も人数は減らすが廃止しない。平井市長は「もともと子育てや教育は重点的に対応してきた。市議会や市民からの声も踏まえ、人口を維持していくためにも影響は最小限にとどめたかった」とした。

 このほか18年度末までに市長ら特別職の給与を計1千万円、一般職の給与を計1億6千万円削減。葉山町とのごみ処理連携で計7千万円の歳入増と歳出減を図る。

 市は、これら18年度の予算編成に向けた対策を含めた17〜22年度の財政対策プログラムを発表。19年度以降は保育料の値上げなどを進め、22年度末の財政調整基金残高10億円を目指す。

 平井市長は「市の貯金をやりくりして予算を組んできたが、その年の歳入で賄える歳出規模にしていかなければならない」と述べ、財政構造の改善が必要との見方を示した。

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