神戸製鋼所は30日、通期連結経常利益見通しを前回予想の550億円から500億円に下方修正した。品質データ改ざんなどを受け、アルミ・銅セグメントで品質管理適正化に伴う不良率の増加によるコストアップや生産量減少、これまでに公表した事案に関わる不適合品の在庫処分による悪化影響などを考慮した。純利益見通しは前回350億円としていたが「顧客への補償費用をはじめとする業績悪化要因の影響を現時点で見通すことが困難」(梅原尚人副社長)として「未定」とした。なお中間配当は見送りを決めた。
会見した梅原尚人副社長は、品質データ改ざんの業績影響について「経常利益に影響する部分で100億円。アルミ・銅で30億円、その他の部門で70億円とみている」と説明。アルミ・銅では「歩留まりの悪化、不良率の増加、不適合品の処分・スクラップダウン、受注減などで30億円」とした上で「その他部門において、当社製品に対する不安からプロジェクトが受注できないことが想定されることを織り込んだ。受注が他社に流れてしまう転注などの可能性がある」と述べた。
通期のセグメント別経常利益見通しは、鉄鋼140億円(前回予想150億円)、溶接50億円(同50億円)、アルミ・銅100億円(同140億円)、機械35億円(同50億円)、エンジニアリング45億円(同40億円)、建設機械120億円(同100億円)、電力30億円(同40億円)。
上期経常益、3.7倍の457億円
なお同時に発表した17年4~9月期連結業績は、売上高9070億円で前年同期比11・3%増、経常利益457億円で3・7倍、純利益393億円で9・6倍だった。
上期が経常利益457億円となっているが、下期分の経常利益は大幅減の43億円とみている。上期は、鉄鋼事業で保全費が下期にずれたほか、建設機械事業で国内の排ガス規制前の駆け込みにより販売台数が増加したことなどから、前回予想より上振れした。
粗鋼生産量は上期実績394万トン、下期360万トン程度で通期755万トン程度とみている。輸出比率は上期実績が26・4%で、下期は27%程度の見通し。上期の鋼材平均単価はトン8万1500円だった。