「老後」は毎月いくら貯蓄したらいいの?

老後が長くなるに伴って、「老後」も貯蓄を継続した方がいい時代になったようです。現役時代のように、手取り月収の何割を貯蓄に回すという定説はありません。貯蓄できる時期は少しでも貯蓄しましょう。

老後を2段階に分けて、「貯める・取り崩す」を考える

本来、老後はお金を貯蓄する時期ではなく、貯蓄したお金を取り崩して使う時期です。しかし、余命がどんどん延びて必要な老後資金が増えています。少子高齢化で老後の生活費の柱になる公的年金は減っていかざるを得ません。

高齢者といえども税金や社会保険料(健康保険・介護保険)、医療・介護費用の自己負担も増えます。子ども世代には頼れないなど、老後を貯蓄の取り崩す時期と位置づけるのは無理な時代になったようです。

そこで、老後を2段階に分けて、「貯める・取り崩す」のプランを考えてはいかがでしょう。

第1段階:どんな形でも働いて収入を得て貯蓄する時期

定年退職の後、継続雇用または再就職で働き、それも退職したら、パート・アルバイトや起業など、どんな形でもいいので働き続けましょう。もちろん、現役時代にやりたいと思いつつ、忙しくてできなかったことをやりながらでかまいません。現役時代のように、がっつり働く必要はありません。夫婦なら、二人で同じような働き方をするといいでしょう。

今は、いつからを老後とするかは自分で決められる時代です。ですから、働き続けることで本格的な老後を少しでも後ろ倒しにしようということです。

この、プレ老後ともいえる時期は、就労収入と公的年金で生活費をやりくりし、貯蓄を取り崩さないことを心がけます。まず、減らさないということですね。

そして、就労収入が多い場合は、公的年金で足りない分以外を貯蓄に回します。もちろん、「余ったら貯蓄」では余らないことが常なので、お金をもらったらすぐに貯蓄用の口座に入れます。毎月、就労収入のいくら、または何割など、積立額や割合を決めて貯蓄するのもいいでしょう。

もちろんコロナウイルスの影響で、予定していた定年後の働き方が難しくなったという人もいるはず。しかし、一方でリモートワークの拡大という新しい形も生まれました。無理は禁物ですが、創意工夫とあきらめず探していく気持ちは必要だと思います。

第2段階:貯蓄を取り崩しながら生活する「本格的な老後」

こうして、貯蓄を継続し、少しでも老後資金を増やしますが、いずれ第2段階に入ります。

働き続けていても、いずれは、大病をした、大ケガをした、何となく働きたくなくなった、パートナーの介護が必要になったなど、体力・気力の衰えや家庭の事情で、働きたくても働けなくなるときがやってきます。ここからが本格的な老後です。この時期から亡くなるまで、貯蓄を取り崩しながら生活していくことになります。

老後資金が潤沢に貯まっている人は別ですが、そうではない人は、あまり贅沢はせず、老後資金が枯渇しないように暮らしましょう。本格的な老後の期間をできるだけ短くするため、健康に気を配ることも大切です。

※All About生命保険ガイド・小川千尋さんの記事を編集部が最新情報に加筆

(文:小川 千尋)

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