有田芳生議員の脅迫容疑で書類送検 埼玉の右翼活動家

【時代の正体取材班=石橋 学】警視庁公安部は31日、ヘイトスピーチに反対する有田芳生参院議員をインターネット上で脅したとして、脅迫の疑いで告訴された埼玉県に住む40代の右翼活動家を書類送検した。  今年4月、活動家が自身のブログに「国賊の有田芳生に天誅(てんちゅう)をくだす」と書き込み、1960年に起きた日本社会党の浅沼稲次郎委員長が右翼の暴徒に刺殺された事件の写真を掲載して脅したとして、有田氏が警視庁麴町署に脅迫容疑で告訴していた。

 活動家は「渡邊臥龍(がりゅう)」の名で文筆活動を行い、右翼を自称するが、街宣でナチスのハーケンクロイツ旗を掲げるなど人種差別・排外主義の思想を肯定し、公然とふりまいてきた。

 ブログの書き込みも差別根絶に取り組む有田氏への反発から行われている。有田氏は今年3月の国会で、人種差別扇動者で極右政治団体「日本第一党」幹部が川崎市で計画した講演会を「ヘイトスピーチが行われる可能性が高い」と問題視。活動家はこれに「事実誤認の虚偽の質問」と言いがかりをつけ、ツイッターでも「本日未明に国賊有田芳生の自宅に突入」「身辺整理もしつつある」などと危害を加えることをほのめかす投稿を連日していた。

 差別主義者によってインターネットがとりわけ立場の弱い差別の被害者を攻撃する道具に悪用されている現状がある。有田氏は「私自身も恐怖を感じたし、ネットの書き込みであっても脅迫という重大な犯罪になる。この活動家だけでなく無自覚に書き込みをしている人や放置しているに等しいネット企業も重く受け止めてほしい」と話している。

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