【MLBプレーオフ】「彼が先頭なのには理由がある」―MVP男からダル撃破、アストロズ強さの理由

ワールドシリーズMVPに輝いたアストロズのスプリンガー【写真:Getty Images】

球団史上初の世界一に導いたヒンチ監督「不安も芽生え始めたとき、ただ選手を信じるのみ」

 アストロズは1日(日本時間2日)、敵地で行われたワールドシリーズ第7戦でドジャースに5-1で勝利し、球団史上初の世界一に輝いた。1番のジョージ・スプリンガー外野手が初回に二塁打、2回には2ランを放つなど、打線がドジャース先発のダルビッシュ有投手を1回2/3で3安打5失点(自責4)とKO。A・J・ヒンチ監督は、「彼が先頭打者なのには理由がある」とワールドシリーズ史上最多タイの5本塁打でMVPに輝いたリードオフマンを絶賛。また、今季のア・リーグMVP最有力候補と見られているホセ・アルトゥーベ内野手も世界一の喜びを噛み締めた。

 若きスターを打線の中心に据えるアストロズ。この日、ダルビッシュを打ち砕いてチームを世界一に導いたのはスプリンガーだった。初回の二塁打で出鼻をくじき、2回には降板へと追い込む豪快な2ラン。ドジャースのプランを大きく狂わせた。

 試合後、ヒンチ監督は公式会見で「我々の選手を見てわかるように、ジョージやアルトゥーベ、カルロス(コレア)は毎試合活躍してくれるんだ。舞台が大きくなるにつれて不安も芽生え始めたとき、ただ選手を信じるのみだ。ジョージが打てば、あとはみんなが続くのみ。このシリーズでよく目にしてきたことだ。彼が打つことによるダメージは大きかった。彼が先頭打者なのには理由がある。クリーンアップを打つ選手にお膳建てするために、彼を一番に据えている」と“切り込み隊長”としての働きを褒め称えた。

 一方、ドジャースとの違いを聞かれたアルトゥーベは「大事なのは自分たちがチームに対して謙虚な気持ちでいたことだと思う。素晴らしいタレントが集まっているけど、それを当たり前だなんて決して思っていない。ドジャースはプレーオフで躍進していた。小さなことを含め、出来ること全てをやったんだ」と回顧。さらに、指揮官への絶大な信頼を明かした。

7月まで所属の青木も世界一リングを手に、アルトゥーベ「今年の全員の活躍があってここまでこれた」

「彼は多くの自信を与えてくれた。彼は自分を信頼してくれているから、うまくでプレーできていない時は、彼はそれをしっかり教えてくれる。選手を絶対見下したりしない。礼儀正しい人なんだ。彼はベストな方法で、ベストなアドバイスをくれるんだ」

 アストロズの強さは、あらゆるところに垣間見える。

 アルトゥーベは「スプリングトレーニングで、これが(目指していた)チームなんだと実感した。クラブハウス内で、多くのチームケミストリー、そして素晴らしい人間関係が広がっていた。今年こそが勝負だと思ったんだ。そして、今年の全員の活躍があって、ここまでこれたんだ」と振り返った。

 今季は開幕直後から独走を続けたアストロズ。7月にトレードとなった青木宣親外野手も、躍進に貢献した。世界一のリングを手にすることになるはずだ。アストロズは後半戦にやや失速。プレーオフでもリーグ優勝決定シリーズでヤンキースに王手をかけられるなど苦しい局面もありながら、頂点まで駆け上がった。

 まさにチームとしての勝利。選手から尊敬を集めるヒンチ監督は試合後、敵将のロバーツ監督について聞かれ、「誰かが祝福しているということは、もう一方では誰かの終焉を意味する。彼の落ち込んでいる姿を見るのはつらいことだ。確かに彼と会って話をしたよ。いつも通り、彼は気品と感謝の気持ちに溢れているようだった。そして、彼を誇りに思うよ。男として、そして監督として、彼を誇りに思う」と気遣うことも忘れなかった。そして、「このチームを(簡潔に)表すと?」との質問には「チャンピオンだ」と答えていた。

(Full-Count編集部)

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