注目は西武、日ハム、阪神!? FA行使手続きスタート、現時点での動向は?

動向が注目される日本ハム・中田翔【写真:石川加奈子】

6日から権利行使の手続きがスタート、西武は炭谷、野上に注目集まる

 パ・リーグ王者のソフトバンクと、セ・リーグ3位からクライマックスシリーズを勝ち上がったDeNAが激突した日本シリーズは、熱戦に次ぐ熱戦が展開された。ソフトバンクの3連勝でスタートし、あっさりと勝負が決するかと思われたが、そこからDeNAが底力を発揮。第6戦までもつれ込み、延長11回の大接戦の末に、ソフトバンクが勝利。2年ぶり8度目の日本一に輝いた。

 これにより、2017年シーズンは全日程が終了。プロ野球界は、これからオフシーズンへと突入していく。6日にはFA権有資格者(全85選手)が権利を行使するための手続き期間がスタートした。 

 規則では「FAの資格を取得した選手は、日本シリーズが終了した日の翌日から土、日、祭日を除く7日間以内に、FAの権利を行使するかどうかを表明する」と定められている。今季は土曜日の4日に日本シリーズが終了。翌日が日曜となったため、手続き期間は6日からのスタートになる。

 FAを宣言する選手は6日から、土日祝日を除く7日間以内に球団に権利行使の意思を伝える。その期間は14日までとなっており、15日にコミッショナーがFA宣言選手を公示。翌16日から全球団との交渉が解禁される。

 ここでは、FA権有資格者を12球団別におさらいしてみよう。

 FA有資格者(◯は今季新規取得者、●は反復取得。引退した選手、所属チームから戦力外、退団となった選手は除外してある)

【ソフトバンク】

・国内 攝津正、城所龍磨、明石健志◯、川島慶三◯

・海外 五十嵐亮太●、本多雄一、内川聖一●、吉村裕基、高谷裕亮◯、長谷川勇也◯、鶴岡慎也●

 複数年契約中の選手が多い。来季、攝津と長谷川勇は3年契約3年目、城所と本多、高谷はそれぞれ2年契約の2年目となる。今季が4年契約の最終年の内川など多くは残留するだろう。鶴岡は権利行使が有力に。また、行使の可能性があると言われているのは明石だが、残留の可能性が高いか。

【西武】

・国内 野上亮磨、牧田和久◯、秋山翔吾◯

・海外 炭谷銀仁朗、中村剛也

 秋山は来季3年契約の2年目となる。牧田は国内FA権を持つが、メジャー挑戦の意向があり、ポスティングシステムでのMLB挑戦の可能性が出ている。今季自己最多タイの11勝をマークした野上が行使を検討しているようで、正捕手の炭谷、中村は複数年契約が今季で切れる。

日ハムは主力が大量流出も?

【楽天】 

・海外 青山浩二、嶋基宏、藤田一也、細川亨、松井稼頭央、聖澤諒◯

 嶋、藤田は複数年契約中だ。松井稼は楽天からコーチなどの打診を受けていたが、現役続行の意思があり退団となる見通し。現時点で目立ったところで、権利の行使の動きは見られないか。

【オリックス】

・国内 T-岡田◯

・海外 平野佳寿、岸田護

 平野が海外FA権を行使しての米MLB挑戦を目指していると伝えられてきた。T-岡田は来季が3年契約の2年目。岸田は大幅減を受け入れ、残留する見込みとなっている。

【日本ハム】

・国内 中田翔◯、増井浩俊◯

・海外 宮西尚生、矢野謙次、大野奨太◯

 このオフのマーケットで、要注目となるのが日本ハムだ。増井、2年契約が満了となる大野は権利行使の可能性が高く、中田、宮西の動向も不透明だ。長らくチームを支えてきたチームの主力が、大量流出となる可能性をはらんでいる。大野には中日移籍の可能性があるとみられ、そのほかの選手にも他球団が興味を示す可能性は高いだろう。 

【ロッテ】 

・国内 唐川侑己◯、スタンリッジ◯、岡田幸文◯

・海外 福浦和也 根元俊一◯ 涌井秀章●

 6選手が権利を取得しており、現状で権利を行使する可能性が取り沙汰されているのはエースの涌井だ。以前よりメジャーリーグへの思いがあり、FA権を行使すれば、米球界への挑戦を目指すことになるか。

【広島】

・国内 天谷宗一郎、江草仁貴

・海外 永川勝浩、石原慶幸、新井貴浩●、赤松真人、小窪哲也◯

 7人が権利を保持しているものの、新たにFA権を取得した選手はなし。小窪はこれまでも国内FA権は取得しており、15年オフに権利を行使せずに残留していた。また梵英心も海外FA権を保持しているが、今季限りでの退団が発表されている。自由契約となり、他球団で現役続行を目指すことになる。

阪神は2選手に権利行使の可能性が浮上

【阪神】

・国内 大和◯、俊介◯

・海外 西岡剛、福留孝介●

 新たに取得した大和、俊介の2人に権利行使の可能性が浮上している。特に行使が有力となっている大和は、内外野で鉄壁の守備力を誇り、数球団が獲得に乗り出すのでは、と言われている。

【DeNA】

・国内 G.後藤武敏◯

・海外 石川雄洋

 新たに権利を取得した選手はなし。ともに残留する公算が高いだろう。一方で、権利行使の可能性のある西武の野上、阪神の大和の獲得に乗り出す動きが伝えられている。

【巨人】

・国内 長野久義

・海外 杉内俊哉、内海哲也、西村健太朗、山口鉄也、阿部慎之助、坂本勇人、亀井善行、寺内崇幸◯

 新たに権利を取得したのは寺内のみ。12球団で最多の9人が権利を保持しているものの、現時点で権利行使の可能性が浮上している選手はいない。長らくチームを支えた中心選手たちばかりで流出の可能性はなさそうだ。逆に、昨オフに続き、FA補強に乗り出す可能性はあるだろう。

【中日】

・国内 平田良介、大島洋平、谷元圭介◯

・海外 岩瀬仁紀、山井大介、荒木雅博、藤井淳志

 平田、大島とは昨オフに複数年契約を結んでおり、球団は今季トレードで日本ハムから加入した谷元の残留に力を注いでいる模様。ベテランの岩瀬、荒木は選手兼任コーチになるとされており、山井も残留する見通し。逆に日本ハムの大野の獲得に乗り出すと見られている。

【ヤクルト】

・国内 川端慎吾

・海外 石川雅規、館山昌平、畠山和洋、坂口智隆、武内晋一◯、松岡健一◯、大松尚逸◯、雄平◯

 館山、川端、畠山は複数年契約中。巨人と同じく9選手が権利を取得しているが、行使の可能性は低い。一方、FA補強に対して積極的ではなく、マーケットに名前が出てくることもなさそうだ。

 昨オフは、陽岱鋼、山口俊、森福允彦が巨人にFA移籍し、史上初のFA3選手補強を行ったことが話題になったFA市場。この3人に加え、岸孝之、糸井嘉男、栗山巧(宣言残留)の6選手が権利を行使した。今季は何人の選手がFAを宣言し、市場を賑わすことになるのだろうか。

(Full-Count編集部)

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