【MLB】巨額契約残すスタントン、トレードは年俸負担が条件? 候補にカージナルス

去就が注目されるマーリンズのスタントン【写真:Getty Images】

ジーター共同オーナーのもとでトレードを画策するマーリンズだが…

 今オフに共同オーナー兼最高経営責任者(CEO)に就任した元ヤンキースのスーパースター、デレク・ジーター氏のもとで改革を進めているマーリンズ。3日(日本時間4日)にはイチロー外野手との来季契約オプションを行使しないことを発表。イチローはフリーエージェント(FA)となり、マーリンズを含む全球団との交渉が可能となった。

 さらに、今季メジャー断トツの59本塁打を放ったジャンカルロ・スタントン外野手、不動のリードオフマンのディー・ゴードン内野手、チームリーダーのマーティン・プラド内野手と、契約を残す主力3選手のトレードにも動いていると報じられている。特に注目が集まっているのはスタントンだ。

 27歳の大砲は2014年オフに北米スポーツ史上最高総額となる13年3億2500万ドル(約371億円)の大型契約を締結。ただ、年俸は15年が650万ドル(約7億4000万円)、16年は900万ドル(約10億円)、17年は1450万ドル(約16億5400万円)と徐々に高くなっていくように設定してあり、来年は2500万ドル(約28億5000万円)と跳ね上がる。23、24年が最高額の3200万ドル(約36億5000万円)となるなど、来年以降の10年で総額2億9500万ドル(約336億5000万円)と大半の金額が残っており、新体制で“緊縮財政”となるマーリンズはスター選手の放出を画策している。

 ただ、当然、ハードルは高い。メジャーリーグ評論家の第一人者で、過去に米国野球殿堂からも表彰されたピーター・ ギャモンズ氏は、自身の米野球専門メディア「ギャモンズ・デイリー」でスタントンの去就について取り上げ、マーリンズが年俸の一部を負担しない限りトレード成立は難しいとの見解を示している。

カージナルスは理にかなった相手も…

 ギャモンズ氏は、移籍先の候補として名前が挙がっているレッドソックスについて「スタントンの代理人に接触はしておらず、おそらく契約規模や彼自身が移籍先を決められるという点を考慮しているのだろう」と指摘。スタントンの契約には全球団に対するトレード拒否条項が含まれており、1度獲得すれば、球団の意思だけで放出することはできなくなる。年俸総額とともに、この点も懸念事項になっているようだ。

 一方で、もう1つの候補とされているのが、ポストシーズン常連の名門球団カージナルス。強豪でのプレーを望むスタントンにとっても、申し分ないチームと言えるかもしれない。

 ギャモンズ氏は記事の中で「その一方でカージナルスは、ジーター氏ら経営陣が年俸の一部負担を考慮すれば、若手有望株の投手たちをトレード要員にすることもいとわないとされている。レッドソックスの下部組織にこういったトレード候補に匹敵する存在はいない」と言及。マーリンズが年俸の一部を負担すれば、見返りとして補強ポイントの投手も獲得できるため、理にかなった相手というわけだ。

 この「ギャモンズ・デイリー」の記事を取り上げた米最大の移籍情報サイト「MLBトレード・ルーマーズ」も、今季大活躍したスタントンの働きぶりを考慮しても、マーリンズが年俸の一部を負担しなければトレード成立は困難との見方を示している。

 一方、カージナルスの地元紙にあたる「セントルイス・ポスト・ディスパッチ」電子版も「中軸を担える打者」としてスタントンが補強候補に挙がっている様子をレポート。また、同紙はチームメイトのクリスチャン・イエリッチ外野手の名前も候補の一人として挙げており、両選手の獲得に動く可能性も浮上している。

 果たしてスタントンのトレードは実現するのか。そして、ジーター氏はどのような動きを見せるのか。新オーナーの手腕に早速、注目が集まっている。

(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2