【需給ひっ迫の特殊鋼棒線】メーカー、マージン改善急ぐ

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 特殊鋼棒鋼・線材の国内需給にひっ迫感の度合いが一段と強まり、フル操業状態の続く高炉、電炉メーカーはいよいよ受注抑制を余儀なくされる段階に立ち至っている。原料・資機材のコスト上昇に加えて、生産設備の老朽更新を含めて製造能力の上方弾力性の確保にも苦慮する中で、マージンの改善は各社にとって急務となっている。自動車メーカーの下期支給価格の値下げ改定に伴い、自給圏の価格交渉が厳しい情勢下で始まりつつあるが、長年にわたり収益基盤の構造的な悪化に苦しんできただけに、需要家に対して丁寧に理解を求めていくものとみられる。鉄鋼メーカーと大手需要家の狭間に立つ部品メーカー、加工メーカーにしわ寄せが行かないかを含めて、下期の鋼材価格動向が注視される。

 需要環境は極めて高水準の自動車関連をはじめ建機、産機など全般に堅調。これまでグローバルな自動車生産拡大に伴い現地調達化が進展してきたが、品質管理・供給安定度・開発力などの面で海外材の使用が頭打ちとなり、日本メーカーの数量増に直結している面もある。現状の為替水準では部品製造のトータルコストで日本材が優位となるケースも出ており、海外材使用を開始していた一部の部品が日本材に回帰する事例も出ている。

 特殊鋼棒線のサプライチェーンは足が長く、鉄鋼メーカーと自動車メーカーの間に複数の加工メーカーや部品メーカーが存在する。自動車メーカーや大手部品メーカーからの部品価格値下げ要請に対し、マージン改善を訴える鉄鋼メーカーとの間で中小の加工メーカーや部品メーカーが板挟みとなることも予想される。

 経済産業省が主導する「未来志向型の取引適正化に向けた取り組み強化」、「適正取引ガイドライン」の徹底を受け、日本自動車工業会、日本自動車部品工業会も自主行動計画を作成している。その実効性がいよいよ問われる局面を迎えることになったといえそうだ。