米軍属女性遺棄 親族ら深い悲しみ 実家で通夜

 【名護】被害にあった女性(20)の通夜が20日、名護市の実家でしめやかに執り行われた。日暮れ前から数多くの親族や友人らが被害女性の実家を次々と訪れ、突然でやりきれない死を悼んだ。ハンカチで顔を押さえながらうつむき、無言で実家を出る女性や、硬い表情で首を振りながら立ち去る男性の姿が見られた。

 常時十数人が座る場の前方に設置された祭壇には、被害女性の写真が笑顔を浮かべていた。ピンクのドレスを着たことしの成人式で撮影したものだ。60代の親族の女性は「本当にかわいい笑顔だった。今でも信じられないし、かわいそう」とハンカチで目頭を押さえながら声を詰まらせた。

 弔問客らによると、通夜の場は静かで時折、「絶対に許せない」など残忍な犯行を非難する声が飛び交ったという。被害女性の母親(51)は泣き崩れる場面もあったが、弔問客らに「ありがとう」などと声を掛けていた。父親はやつれた顔で静かに涙をこぼしていたという。

 弔問を終えた別の60代の親族の女性は「何のために20歳まで生きてきたのか、育ててきたのか。(犯人に対しては)石でも投げてやりたい」と感情を抑えきれない様子だった。

 元米海兵隊員で軍属の容疑者が逮捕されたことについては、「絶対に許せない。この基地はいらないよ。早くどこかに持って行って。嘉手納基地での抗議行動を(テレビで)見て頑張ってねと声を上げた」と話した。

 別の70代の親族の女性は「本当にいい子だった。こんなことになるとは。悲しくて仕方がない」と声を落とした。

 同年代とみられる女性は「悲しいです」とだけ話し、足早に被害女性の実家を後にした。

 21日に行われる被害女性の告別式には中谷元・防衛相らも参列する。

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