【新日鉄住金グループ企業の〝今〟(6)】〈日新製鋼〉顧客ニーズを徹底追求

高付加価値品で市場開拓

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 日新製鋼は1959年、日亜製鋼と日本鉄板の合併で誕生した。旧2社の設立にさかのぼれば、社歴は100年を超える。2012年に経営統合(14年に完全統合)した日本金属工業は32年の設立で、今年は85周年のタイミングに当たる。

 粗鋼生産で国内4位の大手だが、高炉(普通鋼、特殊鋼)と電炉(ステンレス)を併せ持ち、主に薄板類と溶接鋼管、薄板加工品に特化するユニークなグループ事業形態を維持する。主力事業では表面処理鋼板を主体とする普通鋼鋼板、冷延を中心とするステンレス鋼板、特殊鋼鋼板が3本柱だ。

 普通鋼・特殊鋼では呉製鉄所が高炉~熱延工程を担い、堺、東予、大阪の各製造所と日新製鋼建材の本社製造所・鋼板工場(旧日新製鋼・市川製造所)が冷延、表面処理、塗装拠点。ステンレスでは周南製鋼所でスラブを生産し、熱延を呉と衣浦製造所、冷延を主に周南、衣浦で行う。ここ数年は生産・物流システムを再構築し、製造拠点の分散立地による課題を乗り越える「仮想一貫製造所」の基盤作りにも力を入れてきた。

 海外事業は表面処理の米ウィーリング・ニッシンが代表格で、ZAMの営業生産も行っている。ステンレスでは、アセリノックスや宝武鋼鉄(旧宝鋼)と合弁などを通じて良好な関係がある。電気めっき、特殊鋼、ステンレス薄板、鋼管など北米、アジアの拠点拡充はここ数年でかなり進んだ。

 近年の大きな再編では、日本金属工業との経営統合、ステンレス溶接鋼管事業の分社に続き、16年4月に日新製鋼建材が発足した。日新製鋼の最大の強みは、ユーザーニーズにきめ細かく対応する商品開発力と、顧客と共に市場を創造するマーケティング力。独自のめっき技術を生かし、加工製品にも踏み込んでものづくり力を発揮して、高耐食めっき鋼板「ZAM」などを生みだし、市場開拓を進めてきた。コア事業の一つである塗装・建材事業はそうした「日新らしさ」の象徴でもあり、日新製鋼建材においてめっき、塗装から成形加工まで完結できる体制を整えた。

 新日鉄住金の連結子会社になった今年3月13日から、日新製鋼の新たな歴史が始まっている。今後の新日鉄住金グループの薄板、ステンレス事業戦略は日新製鋼との統合シナジーを前提に進められる。生産、販売、技術、研究開発、購買、物流などテーマは経営全般にわたり、将来の生産設備の最適配置もその一つ。各拠点のリフレッシュ投資が全体最適の観点でどう立案され、パフォーマンスの最大化を狙った最適配置がどう進むのか。新日鉄住金のグループ戦略としても先行きが注目される。

 統合シナジーではいくつかの具体的成果も出始めている。ステンレスで今上期から新日鉄住金、新日鉄住金ステンレスによる日新製鋼への鉄源(スラブ、ホットコイル)供給を開始し、日新製鋼と新日鉄住金ステンレスのホットコイルの相互供給を拡大した。製銑技術分野では、新日鉄住金の高炉長寿命化に関する設備・操業技術を活用することで、呉の第1高炉拡大改修・第2高炉休止の延期を決めている。(このシリーズは毎週水曜日に掲載します)

企業概要

 ▽本社=東京都千代田区

 ▽資本金=300億円(新日鉄住金51%)

 ▽社長=柳川欽也

 ▽売上高=5255億円(17年3月期)

 ▽主力事業=表面処理鋼板、ステンレス鋼板、特殊鋼鋼板

 ▽従業員=3843人(単独、17年3月末)