三井金属、「マイクロ波化学」と業務提携 生産プロセス高度化など狙う

 三井金属(社長・西田計治氏)とマイクロ波化学(社長・吉野巌氏)は7日、マイクロ波を活用した生産プロセスの高度化や新規機能材料の開発を推進することを目的として戦略的な業務提携に合意したと発表した。三井金属が得意とする機能材料や電子材料などの材料開発や製造の分野で、マイクロ波化学の技術とのシナジー創出を図る。

 三井金属は、新事業創出の取り組みの一環として、9月に既存事業分野と事業シナジーが見込まれる国内外の有望なベンチャー企業への投資(コーポレート・ベンチャー・キャピタル、CVC)を対象とするプライベートファンドを設立している。今回の提携は同CVCの第一号案件。三井金属がマイクロ波化学に出資し、三井金属は生産プロセスの高度化、新機能材料の開発ならびにスピードアップ、マイクロ波化学は非鉄金属業界との初の提携により、新規分野での技術確立および事業化を推進する。

 マイクロ波化学は、電子レンジにも使われている「マイクロ波」技術を活用し、分子レベルでものづくりをデザインすることで従来法では技術的に製造困難だった新素材の開発や、省エネ・高効率・コンパクトな製造プロセスを可能とする独自技術を有する大阪大学発のベンチャー企業。マイクロ波は直接、特定の分子や物質だけにエネルギーを伝達できるため、従来法と比較して反応時間の短縮や温度ムラがない均一な反応を実現できるなどの特徴を持つ。

 同社の技術は医薬、化学材料、食品などさまざまな分野に応用展開が可能であることから国内外を問わず、多くのメーカーと共同開発を行っている。

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