普通鋼電炉14社の4~9月期、販価改善に格差、品種で〝明暗〟 形・板=増益、棒=減益・赤字

 普通鋼電炉メーカー14社の17年4~9月期決算が9日までに出そろった。緩やかな需要改善を背景に販売量増加と販価上昇で13社が増収。仙台製造所をJFEスチールに移管したJFE条鋼のみが減収となった。経常ベースでは形鋼や鋼板メーカーの6社が増益だった一方、鉄筋棒鋼メーカーを中心に5社が減益、3社が赤字。主原料の鉄スクラップ価格が大幅に上昇する中、鉄筋は販価改善が進まずメタルスプレッド悪化が顕著となり、生産品種によって利益面での明暗が鮮明となった。

 4~9月の販売量は各社とも前年同期を上回った。東京製鉄は118万9千トンで19万6千トン増、中山製鋼所(単独)は72万トンで12万1千トン増、大阪製鉄(国内販売)は49万4千トンで6万3千トン増と、形鋼や鋼板メーカーの販売の伸びが比較的大きかった。再開発案件など都市部を中心に建設需要は底堅かった。

 一方、鉄スクラップ価格の大幅な上昇が利益面を大きく左右した。鉄スクラップ市況は昨年後半から今年3月まで一貫して上げが続き、メーカー買値(H2)は3万円際で4月入り。その後は5月初旬まで下落したが、再び反発して8月には3万円を超えて上昇が続いた。この結果、4~9月の鉄スクラップ平均購入単価は2万8千~9千円と前年同期比で8千円前後の上昇となった。

 主原料や電気料金など幅広いコスト高を受け、メーカー各社は春先から値上げ姿勢を強めてきたが、年度初めの4月に鉄スクラップ市況が下落し、鉄筋棒鋼では値上げが浸透しにくくなった。

 4~9月の販売単価は、鋼板や形鋼を主力品種とする東京製鉄が6万5400円で前年同期比8800円高となり、メタルスプレッドが1200円改善した。一方、鉄筋が主力の共英製鋼は販価が6300円上昇したが、スプレッドは1100円悪化。出荷期間の長いネジ節鉄筋が多い東京鉄鋼の販価は3千円高と上げが緩やかで、メタルスプレッドは5400円悪化。朝日工業や伊藤製鉄所を含め、厳しい競争環境を反映して関東の鉄筋メーカーが軒並み赤字だった。

 売上高経常利益率(ROS)は、海外事業の比率が高い大和工業や鋼板を手掛ける東京製鉄、中部鋼鈑の3社が2ケタを確保した。

 18年3月期通期の業績予想は、トピー工業と共英製鋼、大和工業、東京製鉄、合同製鉄、大阪製鉄の6社が売上高を上方修正。経常利益予想はトピー工業が上方修正した一方、原料高により共英製鋼と大阪製鉄、朝日工業が下方修正した。

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