大谷を「世界オンリーワン」の選手に 日ハムが5年でMLB挑戦を承諾した理由

球団からのMLB挑戦容認が発表された日本ハム・大谷翔平【写真:田口有史】

入団から5年でのメジャー移籍は「少し早いと思われるかもしれないが…」

 日本ハムの竹田憲宗代表取締役社長、栗山英樹監督が10日、都内で記者会見を開き、大谷翔平投手のポスティングシステム(入札制度)によるメジャー移籍を容認することを明かした。新ポスティングシステムの正式締結が条件となるものの、入団から5年で二刀流右腕を送り出すことについて、球団側は「ベストに近いタイミング」と説明している。

 この日、大谷は都内で竹田社長、吉村GM、栗山監督と会談。その場でメジャー挑戦の意思を改めて伝え、球団側も了承した。竹田社長は「ファイターズはポスティングシステムの利用を承諾するという結論に至りました。この場を借りて、大谷選手がメジャーに挑戦することを許可したということを申し上げます」と明言した。

 1度は高卒でのメジャー挑戦を表明した大谷だったが、日本ハムがドラフトで1位指名し、面談を重ねて入団を実現させた。二刀流として常識を覆す活躍を続けてきた男は、わずか5年で米球界に渡ることに。ただ、日本ハムは快く送り出すという決断を下した。

 吉村GMは「彼は夢をもって(ここまで)来て、確実に成長して、昨年は日本一という輝かしい結果を手に入れ、新たに次の段階にチャレンジする。彼はまだまだ若い。23歳なので、少し早いとみなさんは思われるかもしれないけど、やはり世界のナンバーワンになり、大谷翔平が『世界オンリーワン』に向かうには、彼の決断、覚悟があるときに背中を押してあげるのが一番良かったと、ファイターズとして考えています」と話した。

栗山監督も期待「大谷翔平の天井はこんなところではない」

 栗山監督も「これからの成長を、我々としてはまだまだ伸びしろがすごくある中で世界一に向かっていくという状態で(行かせたい)という思いもあった」と語り、吉村GMは「社長と監督も言われましたけど、世界的な視野で見ると、適切なタイミングかなと。(大谷は)世界のナンバーワン、オンリーワンの選手が目標だった。それを目指すならベストに近いかなと。早い時期、才能が伸びている時期に、これからという時に行くべきじゃないかというのはもっと広い判断で、そういう観点ではベストかなと思います」と説明した。

 これだけの実績を残しながら、大谷にはまだまだ伸びしろがある。より高いレベルで力を伸ばしてほしいというのが、球団の願いだ。栗山監督は「まだまだですね。僕が思っているような大谷翔平の天井はこんなところではない」として、渡米後の期待を明かした。

「メジャーに行っても、順調に行くのであれば、我々が最初に目にした通り、度肝を抜くことをやってくれると信じている」

「(二刀流については)僕らが考えたこと以上に、まだまだ色んな考え方が野球にはあって、逆に言えば、想像もつかないような形もあるはずので、そういうものが見られるかもしれない。こっちは勝手にイメージを膨らませてましたけど、もしかしたらそれを本当に超えた翔平の姿というのが見られるのが一番楽しみなので。それを期待しています」

「僕は数字に対するこだわりっていうのは…(なくて)、本人もないほうですし。そういうことよりも、もっと野球に対してのインパクトとか、多くの人が野球の凄さを感じたりとか、野球をやってみようと思ってくれたりとか、そういうことをしてくれると思っている」

 メジャーでも大谷を二刀流としてプレーさせたいという球団が多くなっており、全30球団の争奪戦とも言われる中で選択肢は多いはず。これまで以上の成長曲線で「オンリーワン」の選手へと駆け上がっていってくれることを、球団の誰もが願っている。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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