年末調整では注意!12月の住宅ローン繰上げ返済

年末調整は税金が戻ってくるチャンスです。会社員で住宅ローン控除が使える方なら嬉しいものです。しかし、年末調整の直前に繰り上げ返済をし、ローンの残高証明書を繰り上げ返済前のものを提出した場合はどうなるでしょうか?

12月の住宅ローンの繰り上げ返済は要注意!

住宅購入者は、住宅ローン控除で受けられる減税額も加味して、購入の決断を下していることでしょう。多くの方が10年間、住宅ローンの年末残高に応じて、税金の還付を受けています。

住宅ローン控除を受けるために、住宅を購入した翌年に確定申告をします。自営業の方であれば、その翌年も引き続き確定申告をしますが、会社員であれば、確定申告は初年のみ。翌年からの残りの9年間はあなたに代わり、会社が税金の計算を年末調整で行ってくれます。住宅ローン控除も年末のローン残高を鑑みて、税金が還付されます。

会社の年末調整に間に合わなかった例とは?

それでは、会社員のBさんからのご相談事例を参考に考察してみます。

12月に支給されたボーナスの中から、住宅ローンの一部を繰り上げ返済しました。しかし、銀行から既に届いていた「住宅ローンの残高証明書」を年末調整に必要な書類と一緒に、会社に提出してしまいました。

この残高証明書に記載された金額は、繰り上げ返済をする前の金額です。銀行に再発行の手配を依頼したものの、手元に届くまでに2週間程度は必要とのことで、会社の年末調整に間に合いません。どうすればいいのでしょうか?

年末調整のやり直し

会社にお願いをして、年末調整を再度行ってもらう方法があります。

年末調整の内容に変更が生じた場合には、翌月の1月31日までであれば、やり直しができるようになっています。つまり、会社にお願いすれば、翌月に年末調整のやり直しは可能です。

会社は社員の給与から天引きした所得税等を、給与支給月の翌月10日に国に納付しています。しかしながら、給与の支給人員が9名以下の小規模企業であれば、税金の納付は6カ月に1度という納期の特例の適用を受けています。

つまり、給与の支給人員9名以下のような小規模企業では、半年に1度の納付としている企業が多いのも実情のため、勤務先の企業規模によっては、年末調整のやり直しは負担が大きいケースもあります。

このような会社では、社長の奥様が経理担当をしているケースも多く、年末調整のやり直しをお願いする側としては、言いにくいもの。

会社に言いにくい場合はどうする?

年末調整のやり直しに間に合わなかったり、勤務先にお願いするのが難しい場合は、あなたが自分自身の税金について、税務署に確定申告をすれば大丈夫です。

住宅ローン控除を受けるために、住宅購入の翌年に確定申告をしているはずです。その時の必要資料は多岐にわたりましたが、住宅ローン控除のやり直しだけであれば、会社から支給された「源泉徴収票」と銀行から新たに発行された「ローンの残高証明書」と「印鑑」があれば事足ります。

年末調整の間違いは、原則として翌年の2月16日~3月15日までの間に確定申告をして、正しい内容に訂正しましょう(2020年は2月17日から3月16日)。

年末調整の間違いを放置するとどうなる?

年末調整の間違いを放置しておくと、いずれは税務署から会社に税額不足の通知が届きます。

控除が過大で納付すべき税額に足りない場合には、会社は不納付加算税というペナルティが課せられることになり、あなたは会社に損害を与えてしまうことになります。

ご自身で確定申告をすれば、会社に言う必要はなく、迷惑をかけることもありません。年末調整のやり直しを会社に言いにくい場合や、1月31日までに年末調整のやり直しが間に合わない場合には、税務署に相談してみましょう。

(文:中村 諭(マネーガイド))

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