愛知製鋼のMIセンサ使用の自動運転システム、実用化へ始動 滋賀県で実証実験開始

 愛知製鋼(社長・藤岡高広氏)が開発した超高感度磁気センサ「MIセンサ」を使用した自動車の自動運転(無人走行)支援システムが、実用化に向けて大きく動きだす。同社は10日、国土交通省が11日から滋賀県東近江市の道の駅で実施する自動運転サービスの実証実験に、MIセンサを応用した車両位置を高精度に検出する新技術「磁気マーカシステム」を提供、実用化を目指した検証を開始すると発表した。

 今回の実証実験は、国土交通省が高齢化の進む中山間地域における人と物の流れを確保するため、「道の駅」などを拠点とする自動運転サービスを20年までに実用化することを狙って推進する取り組みの一環として実施される。

 MIセンサ方式の磁気マーカシステムは、車両に搭載した磁気センサが道路に敷設した磁気マーカの微弱な磁力を感知し、自社位置を高精度に計測する自動運転支援システム。今回の実験に当たり、愛知製鋼は従来の携帯電話向け製品の100倍の高感度化を図った新たなMIセンサを開発した。

 11日から17日まで東近江市の道の駅「奥永源寺渓流の里」で行われる実験では、先進モビリティ社の20人乗り小型バスにMIセンサを用いたモジュールを取り付けて行う。生活利用される公道での磁気マーカシステムによる実証実験は全国初となる。

 会見した浅野弘明副社長は「MIセンサは自動車分野での使用を想定し、開発した製品。実証実験を通じて高い精度、信頼性を示し今後の採用拡大につなげたい」と述べた。

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