自動車部品大手のジーテクト、中欧でアルミ車体部材生産 55億円投じ、大型プレス機導入

 自動車車体材料のプレス事業などを手掛けるジーテクトは9日、欧州でアルミ部材の生産を開始すると発表した。スロバキアでは新工場を建設して、19年から欧州の高級車向けにアルミ車体部品を供給する。欧州で広がる自動車の軽量化ニーズの獲得を目指す。

 スロバキアに設立するアルミ車体部品の製造子会社「ジーテクト・スロバキア」(所在地・ニトラ)の敷地面積は10万平方メートル、建屋面積は1万5千平方メートル。大型トランスファープレス機や大型ブランキングプレス機などを導入し、アルミ板をプレス加工して自動車の骨格部材を製造する。総投資額は4200万ユーロ(約55億4400万円)で19年6月の操業開始を計画している。年産能力は15万~20万台分に達する見込み。ジャガー・ランドローバー(JLR)からのアルミ車体部品の新規受注獲得が決まったことを受けて、中欧に生産拠点を設立する。

 ジーテクトはすでに英国グロスター工場に3千万ポンド(約44億7千万円)を投じ、車体用アルミ部材の加工能力を引き上げることを決めている。しかしながら英国のEU離脱問題や欧州の高級車市場におけるアルミ部材の採用増加を受けて、スロバキアへの進出を決めた。今後は英国とスロバキアの2拠点体制でマルチマテリアルボディの量産技術向上と欧州事業の安定した拡大を目指す。

 また同日、中国湖北省の武漢オートパーツアライアンス社(WAPAC、武漢市)に4500万元(約7億6500万円)を投じて第2工場を新設することも公表した。WAPACは長沙市の広汽三菱車に鉄製の自動車車体部品を納入してきたが、広汽三菱車が能力拡大を決めたことを受けて、溶接組み立て工場の新設を決めた。来年4月から操業を開始する見込み。

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