【コラムなどフォーミング製品】フル生産も需給「超ひっ迫」、追加値上げの動き 中小鉄骨造の需要活発

 ロールコラムなどフォーミング製品にメーカーによる追加値上げの動きが出てきた。中小鉄骨造の需要が「9月以降、一気に出始めた」(大手メーカー筋)ことで潮目が急激に変化。切断開先の加工残もおおむね1週間以上に延びているもようで、市中在庫にも急速にタイト感が強まっている。メーカーはフル生産の状態にあるが供給が追いつかず、需給は「超ひっ迫」の状況にある。

 こうした中、一部メーカーが打ち出した10月出荷分からのコラムや軽量形鋼、角パイプなどのトン5千円の値上げは「既に浸透した」(同)ものの、販売価格の上昇が諸コスト増加分をカバーし切れておらず「月次で赤字の状態が続いている」(同)という。メーカーでは12月出荷分から同5千円の追加値上げを垂直的に実施することで再生産可能な販価を実現し、安定供給を堅持したいとの考え。

 建築需要は統計上堅調に推移していたが、鋼材実需に必ずしも反映していない面も強く、需要の伸びを実感する声は少なかった。しかし、下期に入り軽量形鋼は建築向けの復調を背景に大型案件も増加。胴縁加工業者はフル操業で、一部では休日返上での対応も出ている。

 また、角パイプは建築に加え製造業向け案件の切断加工が増加し、フル残業での対応となっているもようで、角パイプを用いるパレットなどの需要もリーマン・ショック以前の水準に回復しているとの声も出ている。

 さらにロールコラムは関東地区の扱い商社や流通でもサイズの歯抜けが目立つようになってきた。「大規模物件向けの400ミリ角だけでなく、あまり在庫が切れないベースサイズ(300ミリ角)以下でもひっ迫感が出てきた」(流通幹部)とされ、10月以降は特に市中在庫の品薄感が強い。

 市場関係者からは「在庫が豊富な大手流通からも引き合いがあった」「見積もられた全サイズがそろわずに失注した」「関東の支店で手当てできないので東北から取り寄せた」など、市中の需給タイト化を指摘する声が複数出ている。切断開先の加工残が2週間に延びている加工店も出始めたという。

 これら建材3品がフル生産となる中で販価についても値上げが浸透。軽量形鋼、角パイプは関東・中部などで底値からトン1万円以上上伸。1万5千円の水準も見え始め、関西などではこれを突破している。ロールコラムも需給ひっ迫を背景に〝ナイモノ高〟の様相を見せ始め、ボトム比では1万円上伸。市況は「数年ぶりの10万円台も視野に入り始めている」との声も出ている。

 一方、素材のホットコイル需給もタイト感は強まっており手当てが困難な状況。コラムなどのメーカーは安定供給の確保に強い危機感を持っており、追加値上げを急ぐ。また、デッキプレートについても値上げは7割程度浸透したもようだが、深刻な人手不足を背景とした輸送費高騰の影響に加え、めっきコイルは好調な自動車需要や輸入材の減少でホットコイル以上の品薄状態となっており、材料手当ての困難さはさらに増していくとの見方が強い。

 メーカーはトン1万円以上の販価引き上げを目指していたが、年内にもう一段の値上げを実現していく方針。

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