ニードルコークスの国内メーカー、2~3倍の値上げ検討 電炉用電極価格に波及必至

 電炉用黒鉛電極の主原料で、電極価格への影響が大きいニードル(針状)コークスの価格が来年以降、一段と上昇する見通しとなった。昨年4月以降の需給ひっ迫を受けて海外市況が急激に上昇。これに国内価格が追いついていないためだ。国内のニードルコークスメーカーは現行価格に比べ2~3倍の大幅値上げを検討し始めた。電極価格へ波及するのは必至で、電炉メーカーの資材購入コストが一段と上昇するのは避けられそうにない。

 ニードルコークスの国際価格は昨年4月以降、中国の電炉鋼生産の増加、リチウムイオン二次電池用負極材向けの需要増などを背景に急激に値上がりした。中国では10~12月期の価格が4~6月に比べ約3・5倍に上昇。欧州や米国、中国以外のアジア地域でも3~4倍に跳ね上がっている。中国では1トン当たり3500ドルという破格の高値が付いているという。

 一方、国内価格は昨年7月に一部メーカーによる期中値上げが行われたものの、海外品に比べ大幅に低い水準にとどまっている。この内外価格差は、輸出を手掛ける国内のニードルコークスメーカーにとって放置できないレベル。このためメーカー各社は来年1月以降の出荷分について、海外市況の上昇に見合った値上げを検討し始めた。市場関係者によると、現行価格比で2~3倍の値上げは必至という。

 ニードルコークスの急騰が、電極価格を押し上げるのは確実だ。海外ではすでに、ニードルコークスの上昇を先取りする形で、電極の値上げが顕在化している。日本国内では来年4月以降出荷分の商談が間もなく始まるが、値上げは必至の情勢。

 電炉メーカーは、電極価格の一段の上昇によるコスト増の吸収を迫られそうだ。

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