東京鉄鋼、異形棒鋼売り腰強化 「再生産可能な販価」実現へ、赤字脱却に〝強い危機感〟

 小棒電炉メーカー、東京鉄鋼(社長・吉原毎文氏)は下期の大幅なコスト高を踏まえ、異形棒鋼の販売価格を早期に〝再生産可能〟な水準に引き上げるべく、売り腰を強めている。主原料の鉄スクラップ価格に先高観が強いほか、副原料の合金鉄や電極、耐火物などの資材価格も軒並み高騰。電気料金などエネルギーコストも上昇しており、下期は大幅なコスト高が顕在化している。同社では、赤字脱却に向けて強い危機感をもって販価引き上げに努め、採算確保を図っていく構え。

 鉄スクラップ価格は10月に小幅な調整安となったが、11月に入って再び上昇している。足元では上げ基調が強まり、年初来の高値を上回る気配となっている。また、バナジウムをはじめとする合金鉄や、電極の価格は前年比で約2~3割上昇。中国産に供給が限定されるマグネシア系など一部の耐火物では価格が前年比5割超の高騰となっている。

 下期はコスト高の一方で、製品の出荷は上向いている。同社では「大型マンションなど先月末ごろから動きが出てきている」(販売担当)とし、堅調な需要を支えに適正販価の実現に取り組む考え。

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