【MLB】GM会議で“大谷狂騒曲” 二刀流継続へ、各球団の意見は…「難しい」「可能」

MLB挑戦を表明した大谷翔平【写真:田口有史】

MLB公式サイトが特集、「GM会議のホットな話題なオオタニ」

 メジャーでの二刀流は可能なのか。そして、二刀流での出場を認める球団はあるのか。

 13日(日本時間14日)にフロリダ州オーランドで始まったGMミーティングは、日本ハムからポスティングシステム(入札制度)でのメジャー挑戦を表明した大谷翔平投手の話題で持ちきりとなっている。MLB公式サイトは「GMミーティングでのホットな話題は、オオタニである」と題した特集記事を掲載。各球団の強化責任者の現時点での意見をまとめているが、その中身とは…。

 10日に球団にメジャー挑戦の意思をあらためて伝え、ポスティングシステム利用を容認された大谷、11日には記者会見を開いて、自らの口で「来年以降アメリカで頑張りたい」「プレーする中で一番の選手になりたい」と宣言した。

 メジャーでの二刀流継続については「そういう(二刀流の)環境があるかないか、話を聞いてみないとわからない。まずは(二刀流に)挑戦できないと。気持ちだけではどうにもならない」と話すにとどめていたが、実際にメジャー球団はどのような考えを持っているのか。

 今や米国でも二刀流継続を期待する声が高まっているが、投手の登板間隔が日本よりも2日短い中4日であることに加え、移動の距離も大違い。過酷な環境で両方をこなすことができるのか、懐疑的な声は根強くある。

 ナ・リーグ中地区パイレーツのニール・ハンティントンGMは記事の中で「(投打どちらかの)1つでも大変なのに、ましてや二刀流なんてね。先発投手として回復に充てる時間、打者として必要としているスイング数、単に野球をするということを超越したものだ。準備や、回復、そしてスキルの向上が求められる。二刀流となると、その倍が求められる」と指摘。かなり厳しいと見ているようだ。

レンジャーズは「可能」、ヤンキースは「選択肢が増える」

 ナ・リーグ東地区ナショナルズのマイク・リゾGMも「二刀流は難しいと思う。両方のスキルのクオリティ次第だが。起用法と期待の両方が関わってくる。両方できるとなったら、それは特別な選手だ。片方やるだけでも、難しいことだ」と話したという。

 一方で、好意的な声もある。大谷獲得を“熱望”する球団の1つと見らているア・リーグ西地区レンジャーズのジョン・ダニエルズGMは「精神的にも肉体的にも、ユニークなスキルの組み合わせが求められるだろう。二刀流としての実力を発揮するにはね。しっかりとした健康状態や回復状況、そういったすべての要素も欠かせなくなる」とした上で、「しかしながら、そうだね、可能だとは思う。タンパはマッケイを指名しただけど、それは単なるお試しでってことにはとどまらないだろう。結局は、本人次第だよ」と続けた。

 レイズは今年のドラフトで、投打二刀流のブレンダン・マッケイと契約。今後の起用法が注目されているが、ダニエルズGMも大谷の能力を信じているからこそ、二刀流は「可能」と見ているようだ。

 また、記事では2つの名門球団の強化責任者の声も紹介。ア・リーグ東地区レッドソックスで野球運営部門のトップを務めるデイブ・ドンブロウスキー氏は「べーブ・ルースがやったじゃないか。彼はとても素晴らしかった」と言及。さらに、札幌ドームで大谷を視察した経験を持つ同地区ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMは「一般的には、二刀流のようなことができる選手がいたら、ロースターをもっと柔軟にできるし、選択肢も増える」と好意的なコメントを残している。

 大谷の代理人はネズ・バレロ氏が務めるが、メジャー球団との交渉の際に、二刀流継続を条件の1つに上げる可能性も十分にある。米国でも新たな歴史を作ることになるのか。球団選びが大きなカギとなることは間違いない。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

© 株式会社Creative2