睡眠負債の解消 “寝だめ”より昼寝を

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 睡眠不足が毎日少しずつ積み重なった「睡眠負債」に陥ると、将来的に、がんや糖尿病、高血圧など生活習慣病につながるリスクが高くなります。睡眠負債の解消に役立つ方法を、国立精神・神経医療研究センター(東京)の肥田昌子・精神生理機能研究室長に教えてもらいました。(高本文明)

-睡眠不足が慢性化した状態が、睡眠負債ですね。

 「睡眠負債は、少しずつ睡眠不足がたまっていきますが、睡眠不足であっても眠気を伴わないこともあります。本人も気づきにくいため注意が必要です。睡眠負債は、肥満や糖尿病、高血圧、高脂血症、狭心症、心筋梗塞、脳卒中など、さまざまな病気のリスクになります」

-睡眠負債の解消には長く眠って不足を補うといいですか。

 「『日ごろ睡眠不足だから、休日に長い時間“寝だめ”をしたい』という気持ちは分かりますが、良くありません。寝だめをすると、かえって本来の体内時計のタイミングとのずれが生じてしまい、とても問題です。夜型の傾向をさらに悪化させるのです」

-なぜ、寝だめはよくないのですか。

 「脳にある体内時計は、起きた後に浴びる自然光などによって毎日リセットされます。睡眠を促すホルモンのメラトニンは、光を浴びて14~15時間後に分泌され始めますが、休日に長く寝ていると、日光を浴びる時間が遅く短くなり、分泌が遅くなってしまいます。体内時計のリズムが後ろにずれてしまい、休日明けがつらくなります」

-では、どんな対処法がありますか。

 「休日でも長くても1時間程度、長く眠るにとどめて、いったん起きましょう。そして、正午ごろから午後3時ごろまでの間に1時間程度、昼寝をすることで眠気を解消してください」

 「朝一番でなくていいので、午前中のなるべく早い時間帯、遅くても正午前後には、日光を浴びていただきたいです。一度起きて光を十分浴びた状態で、それでも睡眠不足の場合には昼寝で補いましょう。朝の早い時間帯に日光を浴びると、寝付きやすくなり、よく眠れます。夜更かしも抑えられます」

-朝型、夜型のタイプがありますね。

 「当センターの調査では、成人の約10%が強い夜型、約20%が夜型を示し、約40%が中間型、30%弱が朝型でした。就寝時間と起床時間は朝型、中間型、夜型の順に遅くなります」

 「特に夜型の人は、自分に適した時間よりも早いタイミングで起床せざるを得ないことが多いでしょう。しかし、早い時刻から床に就いても、メラトニンの分泌開始などの条件が整っていないため、なかなか寝付けません。そのため、夜型の人は、睡眠時間が短縮し睡眠負債を抱えやすくなってしまいます。結果的に休日に寝だめをして、悪循環になってしまうのです」

-照明について注意することはありますか。

 「夜間の照明、特にブルーライト(青色光)を抑えるようにしてください。ブルーライトは、夜に浴びると、体内時計をリセットしますので、睡眠に強く影響します。眼精疲労の原因にもなります。最近主流のLED照明は、従来の蛍光灯に比べてブルーライトの成分が多く含まれ、毎日長時間浴びていると、夜型になりやすくなります。パソコンやスマートフォンからもブルーライトが出ていますので、長時間使用する方は、モニターのブルーライトを抑える設定やアプリを導入するとよいでしょう」

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