新日鉄住金エンジニアリング、住友重機から乾式脱硫脱硝設備事業譲り受け 製鉄プラントで環境分野強化

 新日鉄住金エンジニアリング(社長・藤原真一氏)は15日、排ガス中の硫黄酸化物や窒素酸化物を除去する乾式脱硫脱硝設備事業を11月1日付で住友重機械工業から譲り受けたと発表した。同社が保有していなかった焼結機向け商品ラインアップの拡充により製鉄プラント事業の環境分野を強化する。譲受金額は非公表。今後、中国市場を中心に将来はインドなども視野に展開し、当面年間30億円の売上げを目指す方針。

 新日鉄住金エンジは国内外の製鉄会社向けに製銑、製鋼、圧延、鋼板処理などの製鉄プラントを販売。鉄鋼業界では環境・省エネ対策の設備投資が従来から積極的に行われており、同社もコークス乾式消火設備(CDQ)、排熱回収設備、ガス精製設備、集塵設備などで多くの実績を積み重ねてきた。環境保全に対する規制が世界的に強化される中、製鉄所の排ガス処理対策はますます重要視されていくとみられ、今回の事業譲受によりこうした需要を捕捉する。

 住友重機械の活性炭を用いた乾式脱硫脱硝設備技術は1960年代に研究開発を開始。脱硝機能の付加などを図りながら発電ボイラーや焼結機、ごみ焼却、セメントキルンなどの排ガス処理設備に適用され、国内10基、海外3基の納入実績がある。焼結機向け脱硫設備の1号機は87年に旧新日本製鉄(現新日鉄住金)名古屋製鉄所へ納入されている。

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