神戸製鋼、アルミJIS製品の出荷自粛 流通、対応急ぐ、顧客に準拠品の可否確認

 神戸製鋼所がJISマークの付いたアルミ圧延品の出荷を自粛していることを受けて、国内の流通・問屋は対応を急いでいる。現時点でアルミ厚板や丸棒などの流通市場に大きな影響はみられていないが、今後のJIS認証機関の判断によっては状況が変化する可能性も残る。先行きが不透明な中で流通は、顧客に対してJIS相当品での納入が可能かどうかなどのヒアリングを進めている。

 神戸製鋼は10日に開いた記者会見で、先月26日にJIS表示認定を取り消されたコベルコマテリアル銅管秦野工場に続いて、真岡製造所(アルミ板)、長府製造所(アルミ押出)などに対してもJIS認証機関からJISマーク製品の出荷を自粛するよう要請を受けていると公表。要請を受けてアルミ圧延品へのJISマーク表示を一時停止し、JIS準拠品などとして出荷している。自粛期間は明言されていないが「認証機関の検査結果が出るまで継続されるようだ」(商社筋)と指摘されている。

 JISマーク製品をめぐっては、ユーザーや案件によって〝JISマークが必須〟なものや〝JIS規格相当(準拠品)の仕様が担保されていれば十分〟など要望はさまざま。現時点で流通各社にはJIS表示自粛開始前の製品が在庫されていることから、流通市場に大きな影響はみられていない。しかし先行きに不透明感が漂い在庫量にも限りがあるため、流通は顧客がどのレベルのJIS対応を必要としているかの確認作業を進めている。

 扱い筋は「現時点では顧客への説明も困難。早期に方向性が示されることを願う」(大手流通筋)として認証機関の結果を待ちつつも、今後の流通市場への影響拡大に懸念を示す声も聞かれている。

 神鋼はJISマーク製品の出荷自粛のほか、品質ISOについても真岡製造所(アルミ板)、長府製造所(銅板条、アルミ押出)、大安工場(アルミ鋳鍛)について一時停止の通知に従っている。

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