老後の貯蓄が1000万円で足りる人ってどんな人?
老後の貯蓄が1000万円で足りる人ってどんな人なのか考えてみました。まず、公的年金以外に不動産賃貸収入や株式の配当金などの不労収入があって、それで老後にかかるお金のすべてを賄える人です。もっとも、こういう人は、そもそも貯蓄は必要ないですが。
次に、年金以外に就労収入があって、老後の生活費の収支はトントンの人も該当します。この状態が亡くなるまで続けば、1000万円の貯蓄はそっくり残ります。その中から、お葬式代とお墓代を出してもらっても、残りは遺族が遺産として受け取れます。しかし、いずれは就労収入がなくなり、貯蓄を取り崩しながら生活することになります。
仮に、70歳で仕事をやめたとして、1000万円で何年もつか、2つのケースで計算してみました。
■ケース1:年金で月5万円足りない場合
→約86歳までもちます。
1000万円÷5万円=200カ月(16.6年)
■ケース2:年金で月10万円足りない場合
→約78歳までです。
1000万円÷10万円=100カ月(8.33年)
平成30年の簡易生命表によると、70歳の人の平均余命は、男性15.84年(85.84歳)、女性20.10年(90.10歳)です。ケース1はギリギリ足りるかも……ですが、入院やマイホームのリフォーム、介護施設に入所などで支出があると、もっと早く貯蓄が底をつくか、足りなくなります。それに、お葬式もお墓もなしで、妻が残ったら年金だけで生活しなければならなくなります。
ケース2の場合は、仮に夫婦が同年齢でともに平均余命まで生きたとすると、生活費だけでも78歳で貯蓄がなくなり、それ以降、夫婦で8年間、妻はさらに4年間、年金だけで生活しなくてはなりません。
老後の貯蓄を増やす、長く働くための準備をしよう!
こう、単純計算してみると、老後の貯蓄は1000万円で足りる人は少数派で、多くの人は「1000万円では足りない人」になると考えるべきでしょう。
平成29年1月に放映されたNHKスペシャル「NEXT WORLD 私たちの未来」で、世界の研究者の多くが予測する未来として、「今、先進国の寿命は1日5時間というスピードで延び続けている」「2045年には平均寿命が100歳に到達すると予測されている」「しかも、若くて健康なまま歳をとる時代が来る」とコメントしています。
国も「人生100年時代」と言っているので、100歳まで生きることを想定して老後の貯蓄を含めたライフプランを考えた方がいいでしょう。つまり、1000万円では全く足りないので、とにかく貯蓄を増やした方がいいということ。
そして、幸いにも「若くて健康なまま歳をとる時代が来る」と研究者が予測してくれているので、80歳か90歳まで、あるいは生涯現役で働くつもりで、それを実現するための準備をしましょう。
※All About生命保険ガイド・小川千尋さんの記事を編集部が最新情報に加筆