【MLB】史上最も予想の難しい争奪戦? 米シンクタンクが大谷翔平の移籍先を分析

メジャー挑戦を正式表明した大谷翔平【写真:田口有史】

全30球団による争奪戦の声も…あらゆる条件で予想した結果は?

 日本ハム・大谷翔平投手のポスティングシステム(入札制度)でのメジャー挑戦が決まってから、1週間が経過した。その間、あらゆる米メディアが、二刀流右腕の移籍先を予想する記事を掲載。新労使協定のもとでは24歳以下の海外選手の契約金は制限され、マイナー契約となるため、資金力のある球団が有利とは限らない。全30球団が獲得を目指すと言われていることもあり、史上最も予想の難しい争奪戦となる。

 米国の野球専門シンクタンク「ベースボール・プロスペクタス」は、条件別に大谷の移籍先を予測する特集記事を掲載。日本球界に衝撃を与えてきた男は、どこにいくのか。様々な視点からその行く先をなどを占っている。

 記事でまず最初に挙げられているのが「金銭面」。新労使協定では、インターナショナルボーナスプールで割り当てられている金額が各球団によって異なっており、これが契約金の制限となるが、その枠は現状でツインズ、レンジャーズ、ヤンキースが抜きん出ていると指摘。その後は以下の順番で続いているという。

パイレーツ
マリナーズ
マーリンズ
フィリーズ
ブルワーズ
ダイヤバックス
オリオールズ
レッドソックス
レイズ
ブレーブス
カブス
ホワイトソックス
レッズ
アストロズ
ロイヤルズ
ドジャース
アスレチックス
カージナルス
パドレス
ジャイアンツ
ナショナルズ
タイガース
エンゼルス
メッツ
ブルージェイズ
インディアンス
ロッキーズ

 記事ではタイガース以下のチームに関してほぼ獲得の望みはないと分析。また、大谷はマイナー契約で加入するものの、1年目で開幕ロースター入り、つまりメジャー契約を結ぶことは間違いない。ただ、メジャー契約となっても、年俸調停の権利を得られる2020年までは最低保証年俸のままになるだろうとも言及している。

二刀流に理想的な球場、現在のチーム状況は?

 次のポイントとして挙げているのは「投打」。剛速球を投げる右投手であり、強打の左打者でもある「二刀流」にとっては「投手有利の球場、かつ左打者に有利な環境が理想的」になるとして、移籍先候補を挙げている。

 左打者に有利な球場とされているのは、ヤンキースタジアム、シチズンズ・バンク・パーク(フィリーズ)、ギャランティード・レート・フィールド(ホワイトソックス)、クアーズ・フィールド(ロッキーズ)、チェイス・フィールド(ダイヤモンドバックス)の5つ。もっとも、クアーズ・フィールドは極端に打者有利な「ヒッターズ・パーク」であるため、「投手・大谷」としては不利になる可能性もあるという。またDH制のないナ・リーグでは打者として起用しづらいという面もあるため、バランスで見るとヤンキース、ホワイトソックスが「理にかなっている」と結論づけている。

 その他、日本人選手が現在所属しているチームか否か、過去に日本人選手が所属した“伝統”があるか否か、という点も要素として挙げているが、いずれも大谷獲得に有利に働くかは分からないと紹介。さらに、最後は現時点でのチーム状況について触れており、大谷が勝利を最優先とするならば、今季のプレーオフに進出したドジャース、アストロズ、ヤンキース、カブス、インディアンス、レッドソックス、ナショナルズが有利になる可能性があるとしている。これらは若手中心のチームが多く、この先数年は強さを維持できそうだ。

ツインズ、ロッキーズ、Dバックスも「有望な選手を揃えていて魅力的」

 その他にも、ツインズ、ロッキーズ、ダイヤモンドバックスが「有望な選手を揃えていて魅力的」と分析。今季プレーオフにあと1歩に迫ったブルワーズの名前も含め、「こういった球団にオオタニが加われば、たちまちより面白い存在となる」と期待を寄せている。

 現時点で、大谷が何を優先しているかは明らかになっていない。二刀流をメジャーでも続けられることなのか、来年にも世界一を狙えることなのか、自分が加入することで将来的にワールドシリーズ制覇を目指せることなのか、それとも、この先ずっと勝ち続けることなのか――。「ベースボール・プロスペクタス」も「オオタニ獲得に向けて先頭を走っている球団はまだはっきりとはしていない」と“困惑”している様子だ。

 一方で、「現実問題として我々にはまだ分からないことがあり、それがこの一件をより面白く、よりエキサイトさせる」と、現状を好意的に捉える一文も。史上空前の大争奪戦が多くの人の関心を集めていることは間違いない。メジャーは大谷“米国上陸”の時を早くも待ち望んでいる。

(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2