平和の尊さ次代へ 反戦詩画人・四國五郎さん「師弟展」 横浜

 シベリア抑留を経験し、帰国後は反戦活動に注力した画家・詩人、四國五郎さんの作品展が、横浜市青葉区のスペースナナで開かれている。同じ広島県出身で、四國さんを師と仰いだ画家ガタロさんとの「師弟展」。18日には、四國さんの長男・光さんによるギャラリートークが行われる。

 絵本「おこりじぞう」で知られる四國さん。シベリアでは豆日記を書き続け、軍靴に隠し持っていたという。帰国後に絵日記として復元、シベリア抑留の貴重な記録となった。

 故郷に原爆が投下され、大切な弟を失ったのをきっかけに、反戦詩画人として生きる決意を固める。言論統制下にありながら反戦や反核を訴えた手書きのポスター「辻詩」、詩人峠三吉の「原爆詩集」の表紙などを手掛け、2014年に89歳で死去した。

 一方、ガタロさんは広島で清掃員の仕事をしながら絵を描き続けている。会場では、2人の作品計約40点を展示。飾りきれなかった約60点もファイルに入れられ、閲覧できる。四國さんの展示作品は、広島をテーマにした「黒い雨」や「ベトナムの母子」「おこりじぞう」「辻詩」の原画など。ガタロさんは、四國さんの助言で365日描き続けたという原爆ドーム作品の一部や、「広島の川と橋」シリーズ、雑巾やモップといった清掃道具を描いたものなどを出品している。

 スペースナナの運営メンバー中村泰子さんは「今は混沌(こんとん)とした時代。広島から平和の尊さを伝えようとした人がいたことを改めて知り、次世代に継承するきっかけになれば」と話している。

 18日のギャラリートークは「シベリア抑留から広島へ−四國五郎が表現しつづけたもの」がテーマ。光さんが、父の生涯について語る。午後1時〜2時半、費用は千円(入場料300円を含む)。

 作品展は26日まで(月、火曜休み)。予約・問い合わせは、スペースナナ電話045(482)6717。

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