【MLB】怪物ジャッジも届かなかったW受賞 リン、イチローのMVP投票はどうだった?

マリナーズでのデビュー1年目に史上2人目となるMVP&新人王同時受賞を果たしたイチロー【写真:Getty Images】

新人王&MVP同時受賞は1975年リン、2001年イチローのみ

 史上3人目のMVP&新人賞の同時受賞が期待されたヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手はMVP受賞を逃した。16日(日本時間17日)に発表されたMVPはナ・リーグはジャンカルロ・スタントン外野手(マーリンズ)、ア・リーグはホセ・アルトゥーベ内野手(アストロズ)が受賞。ジャッジはアルトゥーベに次いで2位に終わった。

 メジャー2年目ながら今季ヤンキースを牽引する活躍を見せた25歳。特にオールスター前は84試合で打率.329、30本塁打、66打点と驚異的な数字を残した。後半戦に入り失速し、オールスター以降の71試合で打率.228と低迷したが、22本塁打を放って歴代新人最多の52本塁打を記録すると、新人王レースでは満票でタイトルを獲得した。しかし、迎えたMVP投票ではワールドシリーズ王者のアストロズを牽引したアルトゥーベが405ポイントを集めたのに対し、ジャッジは279ポイントで2位に。結果的に、後半戦の不振が響いた形となった。

“怪物”と騒がれたジャッジですら難しかったMVPと新人王のダブル受賞。それでは過去2人の達成者であるフレッド・リンとイチローはどのような投票結果だったのか。ここで振り返ってみたい。

 1975年にレッドソックスでメジャー2年目を迎えたリンは、前年の15試合から145試合に出場数を伸ばし、打率.331、21本塁打、105打点の好成績をマーク。103得点、47二塁打はリーグトップで、チームのリーグ制覇、ワールドシリーズ進出に大きく貢献した。その年は新人賞を獲得するとMVP投票では326ポイントを集めて史上初のダブル受賞を達成。2位のジョン・メイベリーに約170ポイント差をつけての快挙だった。リンはその年、オールスター出場、ゴールドグラブ受賞も達成した。

イチローはジアンビに8ポイント差でMVPを獲得

 そのリン以来、史上2人目の偉業を成し遂げたのはイチローだった。オリックスから渡米1年目となった2001年、シーズン116勝と圧倒的な強さを見せたマリナーズで衝撃のデビューを果たした。走攻守で輝きを放ち、リーグ最多242安打で打率.350、8本塁打、69打点、56盗塁を記録。首位打者と盗塁王のタイトルを獲得したほか、オールスター出場、ゴールドグラブ賞とシルバースラッガー賞受賞を達成。さらに新人王に続いて、MVPの栄冠に輝き、同時受賞の快挙を果たした。

 ただ、MVP投票ではアスレチックスのジェイソン・ジアンビと接戦となり、イチローが289ポイントだったのに対してジアンビは281ポイントとわずか8ポイント差だった。前年にMVP受賞を達成していたジアンビはこの年も打率.342、38本塁打、120打点でOPS1.137と圧巻の数字を残しており、票が割れる形となった。ちなみに昨年、米紙「アリゾナ・デイリー・サン」がセイバーメトリクスの指標を用いて過去のMVP受賞を再検証した結果では、2004年のイチローもMVP級の成績(メジャー記録の262安打、打率.372、8本塁打、60打点、36盗塁)と評価されたが、MVP投票は98ポイントで7位に終わっており、この年は打率.337、39本塁打、126打点をマークしたエンゼルスのブラディミール・ゲレーロが受賞している。

 今年は59本塁打、132打点の2冠でナ・リーグのMVPに輝いたスタントンもレッズのジョーイ・ボット内野手と大接戦で、その差はわずか2ポイント差。史上歴代4位の僅差だった。偉大な選手であってもMVPを受賞するのは至難の業。メジャー2年目ながら強烈な存在感を放ったジャッジも、ダブル受賞には手が届かなかった。

(Full-Count編集部)

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