GG賞&ベストナインW受賞のホークス甲斐 「何度も救われた」人物とは

ソフトバンク・甲斐拓也【写真:藤浦一都】

鶴岡慎也への尽きない感謝「あの人の言葉に、前向きになれた

 現在、侍ジャパンメンバーとして「ENEOS アジアプロ野球チャンピオンシップ」に参加している25歳に喜ばしい知らせが届いた。ソフトバンクの甲斐拓也捕手が、史上初の快挙を達成した。17日に今季のベストナインが発表され、パ・リーグ捕手部門で初受賞。育成出身者として初めてベストナインの栄冠に輝き、先日発表されたゴールデングラブ賞とダブル受賞となった。

 ダブル受賞も、もちろん育成出身者として初めてのこと。今季初めて1軍の主力となり、躍進を遂げた甲斐にとって、驚きの1年の締めくくりとなったことだろう。

 ただ、決して甲斐1人の力で、このダブル受賞が実現したわけではない。先日、こんなことを言っていた。チームメートで捕手の先輩である鶴岡慎也がFA権の行使を表明した時のことだ。

「僕にとって鶴さんの存在はめちゃくちゃ大きかったです。たくさん教わりましたし、野球以外のこともたくさん教わったので。あの人の存在は僕にとって大きいですね。鶴岡さんには、いろんな声をかけてもらいました。褒めてもくれましたし『タク、大丈夫だから』とか『お前はよくやったよ』とか。そういうのを言えるというのは凄いなと思います。あの人の言葉に、前向きになれましたね。何度も救われました」

 今季のソフトバンクは、主に高谷裕亮と甲斐の2人が先発マスクを被った。東浜巨や千賀滉大、石川柊太といった、かつてファームでバッテリーを組んでいた面々とは甲斐が組み、和田毅やバンデンハークといった外国人やベテラン勢とは高谷がコンビを組んだ。

 36歳となった鶴岡は、彼ら2人のバックアップとなる3番手捕手の役回り。2013年オフにFAでソフトバンクへと移籍してきた実績十分のベテランにとって、満足できない状況であったのは想像に難くない。弱肉強食のプロ野球の世界。そんな中でも、初めて経験する1軍での日々で必死にもがく自分をサポートしてくれた鶴岡へ、尽きることの感謝の思いがあった。

 ゴールデングラブ賞、そしてベストナインに輝いた育成出身25歳の台頭を、36歳の献身が支えていた。その鶴岡は、自身の出場機会を求めて、2度目のFA権を行使。ソフトバンクを退団し、他球団への移籍に道を求めている。

(Full-Count編集部)

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