Jリーグにやって来るかもしれない外国人選手18人(2017冬編・その2)

今冬Jリーグにやって来そうな選手をピックアップする「Jリーグにやって来るかもしれない外国人選手・2017冬」、第2回をお届け(第1回はこちら)。

今回は従来のピックアップ方法に加えて昨年痛感した最新のJクラブの移籍トレンドも踏まえ、“やって来そうなオーラ”のある選手ばかりをセレクトしたつもりだ。

選びに選び抜いた総勢18名。今回は残りの8名を紹介!ぜひご覧ください。

ビクトル・アジャラ

Víctor Hugo Ayala Núñez
国籍:パラグアイ
ポジション:MF
年齢:29歳
所属: フリー ※前所属:アル・ナスル・リヤド (KSA)

縦・横回転のどちらにも対応できる右足を持ち、CKやFKなどで多くのチャンスを創り出すパラグアイ産の技巧派ボランチ。パラグアイ代表としてもこれまで18試合に出場。2016年に行われたコパ・アメリカのコロンビア代表戦でゴールを決めている。

クラブレベルでは昨シーズン、アルゼンチン1部リーグのCAラヌースからサウジアラビア1部リーグの名門アル・ナスル・リヤドへ移籍金180万ユーロ(約2億4000万円)で完全移籍。攻守の要として期待され20試合6ゴールの成績を残した。しかしクラブは今シーズン「より前線で活躍できる外国人選手を」との意向で元全北現代のブラジル人MFレオナルド(31)、トッテナムなどに在籍経験のある元エジプト代表MFホッサム・ガリ(35)らを獲得。アジャラは外国人枠の煽りを受け、現在“飼い殺し”の状態にある。

現在Jリーグにはエドゥアルド・アランダ(32)、ホルヘ・サリーナス(25、いずれも千葉)の2名のパラグアイ人選手が在籍中で、その技術の高さと戦術眼で一定の評価を築いている。またサウジアラビアのクラブで“飼い殺し”されていた選手としては清水のFWチアゴ・アウベス(24、アル・ヒラルからローン移籍中)がおり、彼の能力の高さも既にJで実証済み。試合勘の不足がやや気になるものの、ゲームの主導権を握るためのカードとして今冬にJクラブが獲得に乗り出すかもしれない。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

【次ページ】22歳のKリーグNo.1 GK!

エルダル・ハサノヴィッチ

Eldar Hasanović
国籍:ボスニア・ヘルツェゴビナ
ポジション:MF
年齢:27歳
所属:大連超越 (CHN)

中国2部で活躍するボスニアン・タワー。189cmと長身だがいわゆる“ガチムチ”系ではなく、司令塔タイプ。中盤の底に位置し、正確なパスを左右・上下に散らしながら攻撃を組み立てていく。懐深いキープでタメも作れ、機を見て前線にも積極的に顔を出しゴールを狙う。

プロデビューからボスニアのクラブで活躍していたが、2015-16シーズンにイスラエル・プレミアリーグのブネイ・サフニンFCへ移籍。その後ボスニアとイスラエルのクラブを行き来し、2017年にボスニア・ヘルツェゴビナ人コーチ、ゼラルド・ムハレモヴィッチ氏(47)のコネクションで中国2部リーグの大連超越へ加入。攻守の要として活躍してきた。A代表歴はないが過去にU-21ボスニア・ヘルツェゴビナ代表に選出された経歴を持つ。

大連超越は今シーズン、中国2部リーグを残留圏ギリギリの14位でフィニッシュ。今年いっぱいで契約が切れるハサノヴィッチの去就は未だ不透明な状況だ。チーム戦術に溶け込められるかがカギだが、仮に放出となればJクラブが獲得に乗り出してもおかしくはないだろう。ボール奪取に優れた選手と組み合わせれば大化けの可能性も…。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

<もう一言>欧州からは今オフも何人か選手がJへやって来ることが予想される。これまではセルビアやスロベニアを始めとした旧ユーゴルートが主だったが、近年はポーランドやスペインなど欧州各国から選手が集まってくるようになった。また夏にアジア方面への移籍を画策した元U-21ドイツ代表FWリヒャルト・スクタ=パス(27、SVザントハウゼン)、かつてマンチェスター・ユナイテッドでプレーした元イタリアU-21代表FWフェデリコ・マケダ(26、ノヴァーラ・カルチョ)ら“かつての有望株”も狙い目といえるだろう。

キム・ドンジュン

Kim Dong-jun / 김동준
国籍:韓国
ポジション:GK
年齢:22歳
所属:城南FC (KOR)

189cmの長身を生かしたシュートストップが魅力の若手実力派GK。韓国代表の常連となりつつあり、2部のクラブに在籍していながら「KリーグNo.1 GK」の呼び声高い注目株だ。

まさかの2部降格の憂き目に遭った昨シーズン、キムの元には多くのオファーが殺到した。だが下部組織育ちの彼はチームへの愛着から残留を表明。引き続き城南の正GKとしてKリーグ2部の舞台でゴールを守っていた。夏の移籍市場が活発になる直前の6月には韓国メディアにて「Jリーグの3~4クラブがキム獲得に動いている」と報じられたものの、結局彼は動かず。ガンバ大阪へ移籍した同僚の韓国代表FWファン・ウィジョ(25)とは対照的な行動をとった。

城南FCはリーグ戦を4位で終え、昇格プレーオフでも敗れ2部残留が決定。キムは昨シーズンに続いて多くのクラブから興味を示されることになるだろう。その中でも韓国人GK獲得に熱心なJリーグへの移籍は極めて現実的な選択となるのではないか。A代表メンバーから漏れることが多くなった現在の状況も考慮すると、そろそろ移籍の決断をすべき時期に差しかかっているといえる。

【Jに来るかも知れない度】★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

【次ページ】アジアトップクラスの実力を持つCB

ホン・ジョンホ

Hong Jeong-ho / 홍정호
国籍:韓国
ポジション:DF
年齢:28歳
所属:江蘇蘇寧 (CHN)

188cmと長身ながらビルドアップ能力に長けた現代型のCB。2013~16年までドイツ1部リーグのアウクスブルクで主力選手としてプレー。これまで前線あるいはサイドの選手が活躍しがちだった韓国の欧州組において、CBとして一定の実績を挙げた。

2016年からは中国スーパーリーグの江蘇蘇寧へ移籍金400万ユーロ(約4億5000万円)で移籍。当初は守備の要として一定の評価を得てこそいたが、クラブの成績低迷とともに出場機会が激減。今秋に浦和レッズが補強に動いたオーストラリア代表DFトレント・セインズベリー(25)とのレギュラー争いに敗れ、現在は前述のビクトル・アジャラ同様“飼い殺し”状態にある。

今夏には広州富力で同様の状況だった韓国代表DFチャン・ヒョンス(26)がFC東京へ移籍。彼も出場機会を求めてJへやって来るかもしれない。CBとしての実力は間違いなくアジアトップクラス。守備の立て直しを図るビッグクラブにとっては格好の補強といえるだろう。

【Jに来るかも知れない度】★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★★

ヤン・ドンヒョン

Yang Dong-hyun / 양동현
国籍:韓国
ポジション:FW
年齢:31歳
所属:浦項スティーラーズ (KOR)

現在韓国Kリーグ1部で34試合18ゴールと爆発中のベテランストライカー。187cm の長身を生かしたキープ力とヘディング、正確な右足のシュートが持ち味で、主にPA内を主戦場とする。

ユース年代から将来を嘱望され、10代の頃には韓国サッカー協会の計らいでフランスのFCメス、スペインのレアル・バジャドリー・ユースへサッカー留学した経歴を持つ。帰国後も引き続き年代別の韓国代表に選ばれていたが、年を重ねる毎にキャリアは暗転。数年前まではパッとしない出来に終わっていた。

キャリアの転機は蔚山現代に在籍していた2015年。この年に蔚山の監督に就任した韓国人指揮官ユン・ジョンファン氏(44)に抜擢され、レギュラーのFWとして30試合8ゴールと一定の成績を残す。その後移籍した浦項スティーラーズでは絶対的エースとして2シーズン連続で10ゴール以上を達成。今や「遅咲きのストライカー」として韓国国内でも脚光を浴びている。

ヤンに関しては先日韓国メディアにて「セレッソ大阪が獲得に動いている」と報じられた。セレッソには彼の恩師ともいえるユン・ジョンファン氏がおり、移籍の可能性は大いにあるだろう。ただ彼がJリーグでも活躍できるかは正直未知数であることも忘れてはいけない。30歳を超えた中で引き続き好パフォーマンスを維持できるのか。また、敵味方問わずKリーグとは一味も二味も違うJリーグのサッカーの速さに適応できるのか。継続してゴールを量産している選手ではないだけに、活躍にはユン監督を始め周囲のサポートがカギとなる。

【Jに来るかも知れない度】★★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

【次ページ】「提携国」イランから、この選手!

アシュカン・デジャガー

Ashkan Dejagah / اشكان دژاگه
国籍:イラン
ポジション:MF/FW
年齢:31歳
所属:フリー ※前所属:ヴォルフスブルク (GER)

現在アジアの中で頭一つ抜け出した感のある実力国、イラン。そのイラン代表で主将を務めるのがこのデジャガーだ。正確無比の右足から繰り出されるキックと豊かなテクニック、一瞬のスピードを武器にサイドを制圧するアタッカー。生まれはイランながら幼少期にドイツへと渡り、年代別ドイツ代表のエースとして活躍した経歴も有名である。

昨シーズンは在籍していたカタール・スターズリーグのアル・アラビ・ドーハで徐々にパフォーマンスが低下。その後登録外の扱いを受け入れるかどうかの問題が泥沼化し、1月から古巣のドイツ1部、ヴォルフスブルクへ6ヵ月の短期契約で移籍する。しかしここでも持ち味を発揮できずに退団。現在はフリーとのこと。

所属クラブでは鳴かず飛ばずのデジャガーだが、代表キャリアはまさに順風満帆。イラン代表主将として欧州で活躍する主力選手らをまとめ上げ、見事世界最速でのW杯予選突破に導いた。Jリーグとイランリーグとは2015年から提携国契約を結んでおり、イラン人選手は「提携国枠」として通常の外国人/アジア枠とは別に登録できるのだが、やって来たイラン人選手はいまだにゼロ。日本人選手が比較的多いサイドでのプレーを好むためわざわざ獲りに動くクラブは少なそうだが、ぜひ日本で見てみたい選手の一人だ。

【Jに来るかも知れない度】★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

エゴール・クリメツ

Egor Krimets / Егор Кримец
国籍:ウズベキスタン
ポジション:DF
年齢:25歳
所属:パフタコール・タシュケント (UZB)

10代の頃からアジアのサッカーシーンで活躍する中央アジア屈指のCB。193cmの長身を生かした競り合いの強さはもちろん、ウズベキスタンの選手らしく足元の技術にも優れている。

18歳だった2010年にウズベキスタンの名門クラブ、パフタコール・タシケントでプロデビュー。2013年にはその実力が認められ、中国スーパーリーグの北京国安へローン移籍。アジア枠選手としてACLなどで活躍した。その後一時パフタコールへ帰還するも、2016年にアルベルト・ザッケローニ氏(64、現UAE代表監督)が就任した北京国安へ2度目のローン移籍を果たす。2度目の北京国安では昨シーズンこそ28試合に出場したが、今シーズンはリーグの外国籍選手枠の影響もあり出場機会が激減。わずか5試合しか出場できず、先日パフタコールへのレンタルバックが発表された。

クリメツとパフタコールとの契約は今年いっぱいまでとのこと。まだ25歳と若く、サイズや技術的にも実力はアジアトップクラス。今オフはアジアの多くのクラブが獲得に動きそうだ。Jリーグには今シーズン、磐田に加入したウズベキスタン代表MFファズィル・ムサエフ(28)が堅実なプレーで“ウズベキスタン旋風”を起こしている。彼の活躍に刺激された他のJクラブが獲得に動いてもおかしくないだろう。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

【次ページ】異色の経歴を持つ豪州代表DF

ジェイソン・デイヴィッドソン

Jason Davidson
国籍:オーストラリア
ポジション:DF
年齢:26歳
所属:HNKリエカ (CRO)

豊富な運動量で攻守に渡って活躍する左利きのサイドバック。左足のクロスには定評があり、また180cmと上背があるのも魅力的。長らく欧州で活躍しているが、日系人の祖母の影響を受け2005~08年まで日本の成立学園で留学生としてプレーした異色の経歴を持つ。

プロキャリアはポルトガルでスタートさせたが、本格的にブレイクを果たしたのは2012~14年に在籍したオランダ1部リーグのヘラクレス・アルメロだった。その後本人のたっての希望であったイングランドへの移籍を果たすも、本来期待された成長曲線からはやや落ちた印象。今シーズンからはクロアチア王者リエカへ移籍したものの、マケドニア代表DFレオナルド・ズタ(25)の牙城を崩せず。ここまで出場機会ゼロの状況にある。

オーストラリア代表としても選外が続いており、このままでは来年のW杯出場は厳しそう。ただ、ドイツでパッとしなかったDFミロシュ・デゲネク(23、横浜F・マリノス)が日本で選手としてのキャリアを上昇させたように、彼も活躍の場をJリーグへ求めることが十分考えられる。現状ではリエカとの契約が残っているため、日本にやって来るなら買取オプション付きのローン契約か。日本語が堪能な実力派選手の動向に注目だ。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

選手の補強はJクラブの関係者でない限り知り得ることができない。だがそれでも、Jリーグにおける外国人補強の傾向は掴めていると自負している。

その1、その2と18名の選手を掲載したが、この中からJリーグにやって来る選手は果たして出るだろうか。来シーズン開幕までの楽しみの一つとして皆様の頭の片隅に入れておいて頂けたら幸いである。

筆者名:yosuke

杜の都、仙台を中心に活動している20代。小学生の頃にアジアのエスニックなユニフォームデザインに魅力を感じ、独自に情報収集を開始。歳を重ねる毎にアジアサッカーの虜となる。FKでの得点が大好物だが、これまで10年以上のアマチュア選手キャリアの中で1度もFKを蹴ったことがない(なかなか蹴らせてもらえない)。またベガルタ仙台やソニー仙台、コバルトーレ女川といった地元クラブの応援にも熱を注いでいる。

Twitter: @maimaidenden

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