横須賀唯一の魚行商「おかみさんレシピ」を語る

 横浜ゆかりの書籍の著者を招いたトークイベント「横浜で楽しむ読書の秋」が18日、横浜市西区の市中央図書館で開かれた。神奈川新聞での連載をまとめた「横須賀佐島 魚行商のおかみさんレシピ」の著者・福本育代さん(73)=三浦市=が登壇、「簡単に楽しく魚を食べてほしい」とレシピ集に込めた思いを伝えた。

 福本さんは横須賀市に唯一残る魚の行商で、対談相手を務めた神奈川新聞社の渋谷文彦報道部長が横須賀支社勤務時に「新横須賀市史」の記述に目を留めたのが連載のきっかけ。レシピ集は県外からも注文が相次ぎ、料理教室に呼ばれることも増えたといい、福本さんは「レシピだけでなく自分の世界も広がった」と本の持つ力を実感を込めて語った。また東京五輪に向け、「みんなを魚でおもてなしできれば」との夢も披露した。

 イベントでは、幕末の陽明学者・山田方谷の直系子孫で「運命をひらく山田方谷の言葉50」などの著書がある元横浜税関総務部長の野島透さんが講演。方谷の理念が神奈川県の行政改革などに生かされていることなどを紹介した。

 また冨貴亜里紗さんのピアノと安孫子みどりさんの朗読による音楽物語「ぞうのババール」や、「ことばの学校」事務局長・須藤孝行さんのミニレクチャー「読書が育む“生きる力”」もあり、会場に足を運んだ市民らは休日のひとときを楽しんでいた。

 イベントは、横浜市が11月を「市民の読書活動推進月間」に定めているのに合わせた催しで、神奈川新聞社の主催。

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