V逸楽天の戦力整理 ドラ1右腕含む大量10選手以上に戦力外、松井稼も退団

今季限りで楽天を退団した松井稼頭央【写真:荒川祐史】

松井稼はコーチ就任を断り、古巣西武で現役続行

 天国と地獄。パ・リーグ3位に終わった楽天にとっては、その両面を味わう2017年となった。8月まで首位を走りながら、そこから大失速。2度の大型連敗があり、首位から陥落すると、追い上げてきた西武にもかわされ、3位でペナントレースを終えた。クライマックスシリーズではファーストステージで西武を下してファイナルステージに進出。ソフトバンクとの頂上決戦でも2連勝スタートを切ったが、そこから3連敗。シーズンの縮図のような戦いになってしまった。

 リーグ優勝へ再挑戦となる2018年に向け、このオフは大ナタを振るった。金刃憲人投手や武藤好貴投手、久保裕也投手、中川大志内野手など、大量10選手以上に戦力外通告を行い、久保、石橋良太投手、宮川将投手、入野貴大投手とは新たに育成契約を結んだ。育成選手では2005年の高校生ドラフト1位の片山博視投手や伊藤亮大内野手、北川倫太郎外野手を戦力外とした。

 コーチ就任を打診した松井稼頭央外野手は現役続行を希望。退団し、古巣・西武に復帰することが決まった。西田哲朗内野手は山下斐紹捕手とのトレードが成立し、ソフトバンクへの移籍が決定した。

 今季限りで戦力外や、退団となった主な選手の実績を振り返って見る。

◯松井稼頭央(退団、西武に復帰)
 プロ24年目。NPB通算1883試合7151打数2084安打201本塁打835打点、打率.291。1993年のドラフト3位でPL学園高から西武に入団。2002年にスイッチヒッターとして初のトリプルスリーを達成し、7年連続3割、7年連続150安打など数々の輝かしい成績を残した。2004年に米MLBのメッツへと移籍。その後ロッキーズ、アストロズと渡り歩き、2011年に楽天に加わった。MLBでの通算成績は630試合2302打数615安打32本塁打211打点、打率.267。盗塁王3回、最多安打2回、シーズンMVP1回、ベストナイン7回、ゴールデングラブ賞4回。

自由獲得枠、希望入団枠で巨人に指名された久保、金刃も戦力外に

◯久保裕也(戦力外、育成再契約)
 プロ15年目。通算454試合に登板し、50勝36敗36セーブ107ホールド、防御率3.51。沖学園高から東海大を経て、2002年のドラフト自由獲得枠で巨人へ。1年目から38試合に登板し、6勝を挙げると、その後も中継ぎを中心に活躍した。2015年オフに巨人の戦力構想から外れて退団し、DeNAへと移籍。2016年オフに戦力外となると、今季はテスト生として参加した春季キャンプで合格して楽天へと入団。1040日ぶりの白星を挙げたりもしたが、シーズン終盤に右手の血流低下を患い、そのリハビリに専念するため、戦力外通告を受け、育成契約を結ぶことになった。

◯金刃憲人(戦力外)
 プロ11年目。通算216試合に登板。17勝17敗36ホールド0セーブ、防御率3.97。市尼崎高から立命館大を経て、2006年のドラフト希望入団枠で巨人へ入団。いきなりルーキーイヤーからローテに入り、22試合に投げて7勝をマーク。だが、その後は成績を残せず、2012年のオフにトレードで楽天へと移籍した。移籍1年目に39試合に投げると、2016年には中継ぎでキャリアハイとなる54試合に登板した。今季はキャンプ中に左脇腹を痛めて出遅れ、わずか6試合登板に終わっていた。

◯武藤好貴(戦力外)
 プロ6年目。通算85試合登板。4勝4敗8ホールド1セーブ、防御率4.96。札幌藻岩高、中京大、JR北海道と渡り、2011年のドラフト1位で楽天へ。2015年に中継ぎとして60試合に投げ、4勝をマークしたが、2016年はわずか2試合登板。今季は1軍登板無しに終わり、戦力外通告を受けた。

◯大塚尚仁(戦力外)
 プロ5年目。通算9試合登板。0勝0敗0ホールド0セーブ、防御率12.27。2012年のドラフト3位で九州学院高から楽天入り。3年目の2015年に初の1軍登板を果たし、この年に5試合に投げたが、2016年は4試合に減少。今季は1軍登板はなく、戦力外となった。

5年目の宮川は育成→支配下→育成→支配下→育成に

◯宮川将(戦力外、育成再契約)

 プロ5年目。通算43試合登板。5勝1敗1ホールド0セーブ、防御率3.13。大体大浪商高、大体大を経て、2012年の育成ドラフト1巡目で楽天入り。ルーキーイヤーにいきなりイースタンリーグで好投を続け、6月に支配下契約。8月に中継ぎでプロ初勝利もマークするなど、17試合に登板し、2勝を挙げた。2014年オフに右肘の疲労骨折が判明。手術を受け、再び育成契約となった。2016年7月に再び支配下契約を勝ち取ったが、今季は1軍登板なし。戦力外通告を受け、3度目の育成契約を結ぶことになった。

◯石橋良太(戦力外、育成再契約)
 プロ2年目。通算6試合登板。0勝0敗0ホールド0セーブ、防御率13.50。明徳義塾高から拓殖大、Hondaを経て、2015年ドラフト5位で楽天に入団。ルーキーイヤーで、いきなり開幕1軍に入ったものの、6試合登板止まり。今季は1軍登板無しに終わり、わずか2年で戦力外通告。育成選手として再契約し、出直すことになっている。

◯入野貴大(戦力外、育成再契約)
 プロ3年目。通算30試合登板。1勝1敗1ホールド0セーブ、防御率5.79。高知県立岡豊高校、四国アイランドリーグの愛媛、徳島などを経て、2014年のドラフト5位で楽天入り。1年目から開幕1軍入りを果たし、19試合に登板。プロ初勝利も挙げ、期待されたが、2016年は4試合、そして今季も7試合止まりと結果を残せず。戦力外となり、育成契約を結ぶことになった。

◯小関翔太(戦力外)
 プロ8年目。100試合174打数26安打1本塁打10打点、打率.149。2009年ドラフト3位で東筑紫学園高から楽天入り。プロ入り後4年間は1軍出場はなく、初の開幕1軍を掴んだ2014年に1軍デビューを果たし、53試合に出場。2015年も控え捕手として40試合に出たが、足立の台頭などもあり、2016年は7試合止まり。キャンプ直前に左足甲の手術を受けた今季は1軍出場なしに終わっていた。

大砲候補の中川や、野手転向→投手再転向の片山も戦力外に

◯阿部俊人(戦力外)
 プロ7年目。260試合276打数58安打0本塁打13打点、打率.210。花咲徳栄高、東北福祉大から2010年のドラフト3位で楽天へ。1年目から内野手のバックアップとして開幕1軍を掴み、17試合に出場。2015年には自己最多の66試合に出場し、2016年もほぼ1年を通して1軍でプレーした。今季も主に守備固めとして44試合に出ていたが、オフに戦力外通告を受けた。

◯中川大志(戦力外)
 プロ9年目。118試合327打数66安打7本塁打45打点、打率.202。桜丘高から2008年のドラフト2位で楽天に加入。大砲候補として期待され、2015年には自己最多の62試合に出場。206打席に立って5本塁打を放ったが、以降、成績が下降。今季もファームでは9本塁打を放ったものの、1軍では23試合36打席に終わり、3年ぶりに本塁打無しに終わっていた。

◯福田将儀(戦力外)
 プロ3年目。112試合252打数53安打3本塁打21打点、打率.210。習志野高から中央大を経て、2014年のドラフト3位で指名。1年目の2015年にいきなり開幕1軍を掴み、一時はスタメンにも名を連ねた。ルーキーながら67試合に出場したが、2年目以降は出場機会を減らし、今季はわずか9試合出場に終わった。

◯片山博視(育成選手、戦力外)
 プロ12年目。通算206試合登板、8勝16敗48ホールド0セーブ、防御率3.13。4打数0安打0本塁打0打点、打率.000。報徳学園高から2005年の高校生ドラフト1位で入団。プロ3年目の2008年に1軍初登板を飾ると、2010年からは中継ぎ陣の一角を担い、2年連続50試合以上に登板。2014年に左肘を痛め、2015年の春季キャンプで野手に転向。オフに育成契約となり、2016年の開幕直前には投手に再転向。今季は開幕前に左肘の内側側副靱帯損傷と疲労骨折を負い、手術を受けてシーズンを棒に振って戦力外通告を受けた。

(Full-Count編集部)

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