黄金期の広島が進める3連覇への戦力整備 梵が退団、エース候補は戦力外

広島・梵英心【写真:荒川祐史】

主力の多くは20歳代、松坂世代の江草が現役引退

 37年ぶりのリーグ連覇を達成し、まさに黄金時代を迎えようとしている広島。クライマックスシリーズ最終ステージでDeNAに敗れて日本一はならなかったが、2017年も球界の主役だったことに疑いの余地はない。

 田中、菊池、丸の同級生トリオが28歳。鈴木誠也はまだ23歳とノビしろは十分。西川や野間らも将来が楽しみな好素材だ。投手陣も28歳の野村を筆頭に薮田、岡田、大瀬良、九里、今村、中崎ら若手が十分な結果を残した。

 若さがカープの象徴となる一方で、今季限りでユニホームを脱ぐベテランもいる。今季限りでチームを去る選手を振り返ってみた。

◯江草仁貴投手(引退)
 プロ15年目。通算349試合に登板。22勝17敗、防御率3.15。専大から2002年の自由枠で阪神に入団。05年にはロングリリーフもできる左腕として51試合に登板とフル回転。防御率2.67と安定した成績を残して、阪神のリーグ制覇に貢献した。11年の途中にトレードで西武に移籍。12年の開幕前に嶋重宣とのトレードで地元・広島に移籍。26試合に登板した。13年に左肘の手術を受け、以降は出番が減った。36歳で迎えた今季は自身初の1軍登板ゼロで、引退を決断した。妻は女子バレーボール元日本代表セッターの竹下佳江。

◯今井啓介投手(戦力外)
 プロ12年目。通算114試合に登板。8勝20敗1セーブ、防御率3.59。新潟・中越高から05年の高校生ドラフト2位で入団。本格派右腕として「将来のエース候補」と期待されたが、入団から3年間は1軍登板なし。4年目の09年に先発でプロ初登板。6度目の先発で初勝利をあげた。以降、毎年のようにローテーション候補として期待を集めるも、けがに苦しみ12年の4勝が最多。今季は4試合の登板で防御率5.40の成績に終わった。

梵は通算1000安打目前で退団、他球団での現役続行を希望

◯小野淳平投手(戦力外)
 プロ8年目。通算70試合に登板。4勝5敗、防御率4.33。日本文理大から09年のドラフト5位で巨人に入団。150キロを超える直球が武器で即戦力として期待された。2年目の11年にデビューし、初勝利を含む2勝。13年の4月に青木高広とのトレードで広島に移籍。主に中継ぎで19試合に登板。翌14年は自己最多の22試合に登板した。今季は登板ゼロで戦力外通告を受けた。

◯中村亘佑捕手(戦力外)
 プロ8年目。1軍出場なし。横浜商大高から09年育成ドラフト2位で入団。12年のオフに自由契約となるが、育成選手として再契約。13年、14年も自由契約となるも、その度育成として再契約。15年のオフに念願の支配下登録されたが、1軍での出番はないままだった。15日に行われた12球団合同トライアウトに参加した。

◯多田大輔捕手(戦力外)
 プロ3年目。1軍出場なし。鳴門渦潮高から14年ドラフト7位で入団。189センチの恵まれた体格で、強肩強打の捕手として入団するも、1軍の捕手は層が厚く3年間で1軍登録は一度もなかった。

◯梵英心内野手(自由契約)
 プロ12年目。通算1096試合に出場。打率.264、74本塁打、357打点、135盗塁。新人王、ゴールデングラブ賞1回。日産自動車から05年大学生・社会人ドラフト3位で入団。即戦力として開幕戦スタメン出場。ルーキーイヤーは主に遊撃を守り、130安打をマークし球団最多記録を更新。新人王に輝いた。2年目はキャリアハイの18本塁打とパンチ力もアピール。10年は自身初めて全試合に出場。自身最高の打率.306を記録したことに加え、43盗塁で盗塁王を獲得。ゴールデングラブ賞も受賞した。

 12年に打率.304の好成績を残して以降は、ひざの痛みなどもあって、成績が下降。チームが優勝した昨季はわずか7試合の出場で無安打に終わった。若手の台頭もあり、今季は1軍出場なし。オフに他球団での現役続行を視野に、自由契約となった。通算1000安打まで残り10本。新天地が見つかれば、大台到達への期待が集まる。

 黄金時代を迎えた陰で、低迷期を支えた中心選手がチームを去ることになった。その功績は計り知れないはず。それぞれがたどってきた足跡が色あせることはない。

(Full-Count編集部)

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