【新社長】〈東京鉄製・宇佐美貴史氏〉極薄加工で建材向けなど拡販 〝万能型〟の薄板コイルセンターが強み

 表面処理鋼板および波板加工製造販売業の東京鉄製(本社・千葉県浦安市港)の4代目社長に就任した宇佐美貴史氏。「家業的な良さを残しつつも、今の事業環境にあった企業経営に転換し、会社の中身の改革を進めていきたい」と抱負を語る。

 同社は1950年に貴史氏の祖母が宇佐美商店を興したが、戦前から鉄鋼の商い続ける老舗企業であり、以前は砂町の境川計量所として終戦後、豊洲港で輸入される物資の計量事業を経営していた。2013年にカラー波板鋼板の加工事業を受託したJFE鋼板との取引関係も当時の東京亜鉛鍍金の時代にまでさかのぼる。

東京製鉄・宇佐美社長

 同社の強みを「個人商店的な小口注文や小ロット・短納期に対応できると同時に、一流のコイルセンターとして、メーカーや商社などとの大口取引にも対応できる、〝オールラウンダー〟なコイルセンター」と挙げる。「時には町工場、時にはコイルセンターとして、配送についても、関連会社の染常運送店では3トン車の小口から大口対応のトレーラーまで、北は北海道、南は九州の全国へのデリバリーが可能だ」。

 中長期な目標についても、「特殊鋼など新しい事業分野を徐々に開拓している。主力のコイルセンター事業は、平均板厚0・25ミリの〝極薄〟加工の強みを生かして、建材向けだけでなく、自動車や家電などの産業向けも増やしていきたい。また鉄スクラップや波板などの輸出販売も精力的に強化していきたい」と意欲的だ。

 3年後の2020年には創業70周年、設立でも第50期を終える節目の年となる。「現在の業容は、国内がヒモ付き、店売りが半々だが、国内、海外ともまだチャンスはある。一人の力より、二人三人の力で。社員一丸となり、〝東京鉄製〟〝染常運送店〟のブランド力、信頼性を高めて、さらなる業容拡大にまい進していきたい。20年までに売上高を現状から2割引き上げることが目標だ」。(伊藤 健)

略歴

 宇佐美 貴史氏(うさみ・たかし)1997年東京鉄製入社。染常運送で大型車ドライバーを2年経験後、東京鉄製の製造現場へ。経理・総務を経て28歳で営業へ。2009年専務、17年8月社長。趣味は釣り、マリンスポーツ。1974(昭49)年5月30日生まれ。

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