リーグ優勝目指す西武の戦力整備 助っ人4投手、松坂世代3選手らが退団

2軍育成コーチとなった鬼崎裕司【写真:編集部】

上本、渡辺、木村…3人の“松坂世代”が戦力外に

 リーグ4位に終わった昨季から躍進し、今季は2位に食い込みながらも、クライマックスシリーズ・ファーストステージで敗退した西武。来季のリーグ制覇、日本一に向けて、オフにはベテラン組を中心に戦力外通告を行い、2018年シーズンに向けた編成を進めている。

 長年チームを支えてきた上本達之捕手や大崎雄太朗外野手、渡辺直人内野手、鬼崎裕司内野手、岩尾利弘投手など8選手を戦力外とする一方で、今季補強したばかりのブライアン・シュリッター投手、フランク・ガルセス投手、アレクシス・キャンデラリオ投手、スティーブン・ファイフ投手の外国人4投手を自由契約とした。

 また、牧田和久投手がポスティングシステムを利用したメジャー挑戦を表明し、今季11勝を挙げた野上亮磨投手は国内FA権を行使。残留の選択肢も残しているものの、去就は不透明な状況となっている。

 今季限りで戦力外、退団となった選手たちの実績を振り返ってみる。

◯上本達之(戦力外、引退しブルペン捕手に)
 プロ15年目。通算466試合出場。745打数168安打13本塁打78打点、打率.226。松坂世代の1人で、山口・宇部商高から協和発酵を経て、2002年ドラフト6位で西武に入団。打力を買われ、捕手だけでなく一塁手や外野手としてもプレーし、2010年には自己最多91試合に出場した。その後も控え捕手としてチームを支え続け、今季も炭谷、岡田に続く3番手として中盤まで1軍に登録されていた。

◯渡辺直人(戦力外)
 プロ11年目。通算1046試合出場。3185打数832安打4本塁打216打点、打率.261。こちらも松坂世代の1人。茨城・牛久高から城西大、三菱ふそう川崎を経て、2006年の大学・社会人ドラフト5位で楽天に入団。2010年オフの契約更改終了後に横浜(現DeNA)へ金銭トレードされた。2013年シーズン途中に西武へトレード移籍。しぶとい打撃と内野ならどこでもこなせるユーティリティー選手で、2014年には104試合に出場したが、その後は徐々に出場試合数を減らし、今季は32試合にとどまっていた。古巣の楽天へ復帰が有力と見られている。

戦力外の田代はトライアウトを経てヤクルトへ

◯鬼崎裕司(戦力外、2軍育成コーチに就任)
 プロ10年目。通算425試合出場。818打数195安打6本塁打65打点、打率.238。佐賀工高校から関東学院大、富士重工を経て、2007年の大学・社会人ドラフト3位でヤクルトへ入団。2011年シーズン中にトレードで西武へ移った。2013年に105試合に出場し、これがキャリアハイに。昨季も79試合に出場したが、今季はルーキー源田の台頭もあり、移籍後初の1軍出場なしに終わっていた。

◯木村昇吾(戦力外)
 プロ15年目。通算733試合出場。1128打数294安打3本塁打71打点、打率.261。木村昇も松坂世代の1人。香川・尽誠学園、愛知学院大から2002年ドラフト11位で横浜に入団。2007年オフに広島へトレード移籍すると、守備固めや代走要員として出場機会を増やした。2011年には最多106試合に出場。2015年オフにFA権を行使したが獲得に乗り出す球団がなく、テスト生として西武の春季キャンプに参加し、入団にこぎつけた。だが、2016年6月に右膝の前十字靭帯を断裂し、オフに戦力外通告。育成選手として再契約し、今季は6月に支配下に復帰したが、わずか3試合出場に終わった。
 
◯田代将太郎(戦力外、トライアウトを経てヤクルトが獲得)
 プロ6年目。通算71試合68打数7安打1本塁打5打点。東海大四高から八戸大学を経て、2011年ドラフト5位で西武入団。俊足を武器とし、2016年に初の開幕1軍入りを果たした。今季は開幕スタメンにも名を連ねたが、打率.071と奮わずに戦力外となった。
 
◯大崎雄太朗(戦力外)
 プロ11年目。通算444試合出場、947打数243安打5本塁打77打点、打率.257。茨城・常総学院高、青山学院大を経て、2006年の大学・社会人ドラフト6位で西武に入団。2012年に自己最多107試合に出場し、70安打とキャリアハイの成績を残したが、これをピークに出場機会は減少。若手の台頭もあり、今季の1軍出場はなしに終わった。

◯岩尾利弘(戦力外、打撃投手に)
 プロ8年目。通算48試合登板。3勝0敗0セーブ5ホールド、防御率6.11。大分・津久見高、別府大から2009年ドラフト3位で西武へ。ルーキーイヤーから1軍で2試合に登板した。2015年には21試合に中継ぎで投げ、4月12日ロッテ戦から22日の日本ハム戦にかけて4試合で9者連続奪三振を記録。参考記録ながらプロ野球記録に並んだ。だが、2016年は登板2試合に減り、今季は1軍登板はなかった。

来日1年目の外国人4投手が自由契約に、9か国を渡り歩いた“変わり種”も

◯佐藤勇(戦力外、引退)
 プロ5年目。通算7試合登板。1勝3敗、防御率5.76。福島・光南高から2012年ドラフト5位で西武入団。2016年に1軍初登板を果たし、計7試合に登板した。先発は4試合で1勝に終わり、今季は1軍登板なし。戦力外通告を受けると現役引退を決断した。

◯ブライアン・シュリッター(自由契約)
 NPB1年目。64試合1勝5敗32ホールド0セーブ、防御率2.83。ロッキーズ傘下3Aから西武に入団すると、150キロを越える真っ直ぐを軸に勝利の方程式を担った。先発ウルフとともに、結果を残したが、今季限りで退団することとなった。

◯アレクシス・キャンデラリオ(自由契約)
 NPB1年目。1試合0勝1敗、防御率21.00。ドミニカ共和国出身の右腕は、母国の他にもメキシコやパナマ、ニカラグア、イタリアなど、来日まで計8か国を渡り歩いた“変わり種”として話題になった。5月2日ソフトバンク戦で先発するも、3回7失点と炎上。登板はこの1試合のみとなり、シーズン終了を待たずに9月にウエーバー公示され、自由契約となった。

◯フランク・ガルセス(自由契約)
 NPB1年目。18試合2勝2敗2ホールド0セーブ、防御率6.39。米MLBパドレスから入団した左腕。先発、中継ぎ双方で登板したものの目立った活躍はなかった。クライマックスシリーズ・ファーストステージ終了後にウエーバー公示され、自由契約となった。

◯スティーブン・ファイフ(自由契約)
 NPB1年目。5試合1勝1敗、防御率6.86。キャンデラリオに替わる先発候補として6月に加入したが、こちらも戦力にはなれず。7月13日のロッテ戦で来日初勝利を果たしたが、残した白星はこれだけ。8月下旬に登録を抹消されて以降、1軍での登板はなかった。ガルセスとともに、クライマックスシリーズ敗退後にウエーバー公示された。

(Full-Count編集部)

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