[マス王] エリアトラウトの歴史を変えた名作ルアー〈その2〉【シュバーンシャッド×荒川通】

エリアトラウトの世界には、既存の常識を覆した名作ルアーが存在する。そんなルアーをご紹介する不定期連載の第2回目。第1回目では「DSベビーバイブ」(ディスプラウト)を紹介したが、今回はエリアにおけるミノーイングの概念を根底から変えた名作ルアー・シュバーンシャッド(ヴァルケイン)のヒミツを徹底分析!

その1「DSベビーバイブ」編はこちら↓

エリアトラウトにおけるミノーイングの概念を変えたルアーの登場!

イワナ、ヤマメ、ブラウントラウト、ブルックトラウトなどは、エリアトラウトの世界では、一般的に「イロモノ」という俗称で親しまれている。
イロモノ狙いの釣りと、エリアのメインターゲットであるニジマス狙いの釣りではメインとなる戦術が異なる傾向がある。

その最たる例がミノーイングだ。

ミノー型シャッド「シュバーンシャッド」の登場はエリアの常識を間違なく変えた。
荒川 通(あらかわ・とおる)ヴァルケインプロスタッフ。日本有数のマッディポンドである千葉県の「ジョイバレー」や、タフでハイプレッシャーな北関東系フィールドで腕を磨いてきた。理論の壁を楽々と超えていく感覚の天才。手元に伝わる僅かなテンションの違いで釣りをコントロールする繊細さに定評がある。エリア業界が期待を寄せる次世代のエース。

ラインスラックを利用してミノーを左右にビュンビュンと飛ばし、イワナやヤマメを狙うミノーイングは、エリアにおける一般的なニジマスゲームとは一線を画している。
左右への激しいダート、そしてスピードで食わせるイロモノゲームに対して、ニジマスゲームは精密な一定巻きで食わせる傾向がある。しかし、それはあくまでも「傾向がある…」という話であり、絶対ではない。

そして、ミノーは激しくダートさせて使うことが、ひとつの常識であることも間違いのない事実。

だが、いつの時代も常識の壁を突破して、新境地を開拓する者たちが存在する。そうした革命者たちが切り拓いた新境地はいつの日か、新しい常識として定着する。釣りの歴史もまさにその繰り返しといえる。

そして近年…エリアゲームにおけるミノーイングの常識を覆した集団が存在する。その集団こそがエリアトラウトのエリート集団・ヴァルケイン軍団だ!

シュバーンシャッドが切り拓いた世界はとてつもなく広い!

ヴァルケインが開発したミノー型シャッド「シュバーンシャッド」はあらゆる意味で斬新だった。

まず、メインターゲットはニジマスだ。「ミノー」=「イロモノ狙い」が常識のエリアの世界において、ミノーとニジマスの組み合わせは斬新そのものだった。

ヴァルケインが誇る対ニジマス用ミノー型シャッド「シュバーンシャッド」。フローティング、フローティングナノ、ハイフロート、シンキングの4タイプが存在する。

荒川「同じプラグでもクランクベイトとミノーではシルエットが違います。さらに言うと、水押し力も異なります。ミノーの方が断然水押しが弱いです。水押し力とは、すなわち波動の強さを意味します。水押しが強いほど波動も強くなります。波動が強い方がいいときもあれば、逆に弱い方がいいときもあります。つまり、クランクベイトの方がいいときもあれば、ミノーの方がいいときもあります。ですが、既存のエリアゲームではミノーはあくまでもイロモノを狙うルアー、ニジマスゲームには向いていない…という常識が定着していました。それを覆したのがシュバーンシャッドです」。

そして、シュバーンシャッドが切り拓いたミノーイングにおけるニジマスゲームの領域は、とてつもなく広がった。

フローティング…縦の動きでニジマスを誘う!

左右に飛ばして誘うイロモノ主体のミノーイングに対して、ニジマス主体のシュバーンシャッドは縦の動きで誘うことが前提。

荒川「巻いて止めて浮かせて誘うのが基本ですが、実際のフィールドではそこまで明確な浮上よりも、ラインテンションの抜けで浮上させる誘いがメインです。ラインテンションを張った状態で巻いて、テンションが緩んだ一瞬の浮上で誘います。バイトは浮上した瞬間ではなく、浮上完了後にもう一度ラインテンションを張ろうとした一瞬前に起きることが多いです。つまり、浮上開始直後ではなく、浮いて時間が経過した頃ですね…。とは言っても時間にすると浮上後1~2秒の世界ですけど…」。

シュバーンシャッドは目玉の色が「青×黒」がハイフロート。「白×黒」がフローティング。「黄×黒」がシンキングタイプ。

また、ミノーやシャッドでは珍しいただ巻きでも使えるのがシュバーンシャッドの特徴。そんなシュバーンシャッドは、フローティング、フローティングナノ、ハイフロート、シンキングの4タイプが存在する。

膨大な実釣データと緻密な理論が高濃度で詰め込まれているヴァルケインプラグが広く支持される理由は、その繊細な開発工程を見ていれば誰でも納得できる。

荒川「ちなみに今回ご紹介した使い方は、基本的にフローティング、フローティングナノ、ハイフロート用のメソッドです。シンキングタイプはボトムノックや、他のミノー同様に横に飛ばしてイロモノ狙いで使います」。

大本命! 荒川流クランキングの究極メソッドも徹底取材…その全ては『マス王』で!

ルアーマガジンマス王の特集の一角「エリアプラッギング革命」。その中核を担うコンテンツのひとつが、荒川さんの『対クランクベイト戦略』だ! ラインテンションに秘められた、一投一尾の極意とは…。エリアトラウト用プラグに命を吹き込み、眠れるポテンシャルを根こそぎ掘り起こす超濃密ハウツー企画!! さあ、今シーズンはマス王を手にフィールドを席巻せよ!

『ルアーマガジン マス王』内の荒川通さんの記事「対クランクベイト戦略」では、荒川スタイルで使う主流クランクベイトを全解説!
◆表層〜中層レンジ
・ハイフロート→ クーガHF
・フローティング→ クーガ
・シンキング→ クーガS
◆中層〜ボトムレンジ
・ローインパクト→ ホライザードLi
・ワイドインパクト→ ホライザードWi

[文/立川 宏釣りPLUS

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