24日から「鉄筋EXPO2017」

 鉄筋業界にかかわるさまざまな技術・工法や製品などを紹介する業界初の総合展示会「鉄筋EXPO(エキスポ)2017」が24日、千葉市の幕張メッセ9ホールで開幕する。会期は26日までの3日間。企業や団体による展示のほか、シンポジウム、鉄筋技能大会、美術展など多彩なイベントが催される。

 全国鉄筋工事業協会(全鉄筋)や全国圧接業協同組合連合会(全圧連)などでつくる実行委員会(実行委員長・館岡正一全鉄筋副会長)が主催。共催団体として2団体のほか、日本鉄筋継手協会、普通鋼電炉工業会(普電工)も名を連ねる。国土交通省、経済産業省、鉄筋継手検査業協会などが後援する。

 「世界初の鉄筋をテーマにした博覧会」(実行委)と題し、鉄筋業界の未来創造のため、日本の技術を発信するのが狙いだ。

 初日には「鉄筋の現状と未来」を主題にしたシンポジウム、25日には第2回鉄筋技能大会「TETSU―1(テツワン)グランプリ」、最終日の26日には若者向けプログラムなどがある。会場入り口に設ける巨大モニュメントも見ものだ。

 期間中は約1万2千人の来場を見込む。開会は午前10時から午後5時まで(26日は午後4時まで)。入場無料だが、事務局HP(「鉄筋EXPO」で検索)での事前登録が必要。

鉄筋EXPOの狙いと業界展望/館岡正一実行委員長に聞く(全国鉄筋工事業協会副会長、矢島鉄筋工業会長)

 鉄筋業界初の総合展示会「鉄筋EXPO(エキスポ)2017」の開催に当たり、計画段階から先頭に立って進めてきたのが館岡正一実行委員長(全国鉄筋工事業協会副会長、矢島鉄筋工業会長)だ。建設用鋼材の鉄筋を軸に、メーカーから販売、加工、施工業者まであらゆる立場の人や企業、団体の交流による未来創造の場を提供するのが狙いだ。館岡会長に開会までの経緯や業界展望を聞いた。(新谷 晃成)

――鉄筋業界として初となる総合展示会を企画したいきさつは。

 「従来はメーカーであれば電炉鋼材フォーラムや各種建材展で、鉄筋工事業者は都道府県といった各地で開く産業展などで、それぞれ自社製品や独自技術、業界概要を発信してきた。だが製造から施工まで関係者が一堂に会して鉄筋業界をアピールする機会はなかったのが現状だ。そこで関係者から世界初の総合展示会を開こうとの声が挙がり、昨年夏に実行委員会を組織した」

関係業界の交流で未来創造の場提供

 「実行委員会の構成団体は全国鉄筋工事業協会(全鉄筋)と日本鉄筋継手協会、全国圧接業協同組合連合会(全圧連)、普通鋼電炉工業会(普電工)の四つ。川上から川下まで鉄筋にかかわる団体が集まり、月に1回のペースで会合を開き、出展規模や討論会、催し物の企画を出し合って決めてきた」

――エキスポを企画した大きな狙いは何か。

 「開催目的は『鉄筋にかかわるすべての人に、鉄筋に関するすべての技術を発信する』こと。業界の未来創造のための日本の製品や技術を一堂に集め、関係者や関心ある人たちに商談などで積極的に交流してもらいたい。また情報発信によって就職希望者を増やすとともに、社会的にも認知向上を図って関係者が幸せになれるような業界に発展する契機となってほしい」

――初日の24日には「鉄筋の現状と未来」と題したシンポジウムを開催する。

 「パネリストとして参加するのはメーカー、設計者、ゼネコン、鉄筋工事業、継手工事業、検査業の各代表者。それぞれの立場で現状の課題や将来の展望を語り、和泉信之・千葉大教授がコーディネーターとして『生産性の向上と施工品質の保証』をテーマに積極的な討論を促す。冒頭では国土交通省専門工事業・建設関連業振興室長の高田龍氏に国交省における最近の建設産業政策を主題に基調講演もお願いした。今回のシンポジウムで幅広い分野から登壇者を得られたのは、学術関係者が多く所属する鉄筋継手協会をはじめとした主催各団体の協力のたまものだ」

 「鉄筋工事業の立場から言えば、建設業界が進める週休2日実現などにはさらなる省力化の技術などが必要だ。若い人たちに入職したもらうためにも、いろいろな知見をうかがいたい」

――2日目の25日には第2回となる全国鉄筋技能大会「TETSU―1(テツワン)グランプリ」(全鉄筋主催、本紙など協賛)も開催する。

 「第1回の技能大会は2015年10月に静岡県富士宮市の全国建設産業教育訓練協会富士教育訓練センターで開催した。前回も私が実行委員長を務め、審査員やスタッフは地理的に近い関東地区の会員が多かった」

人材育成や情報発信で若者に魅力ある職場へ

 「今回は同時期に青年部全国連絡会議を開くので、参加する若手メンバーが主体となって大会を運営することになる。仕事のやり方や技術には地域差があるが、全国各地の人間がかかわるので審査でも共通の考え方が浸透する好機となる。選手として出場するだけでなく運営にもかかわることで、青年部のメンバー同士の結びつきも強まるだろう。そういう意味でも同時期・同会場でやる価値がある」

――最終日の26日には若者向けのイベントも企画した。

 「午前に開く鉄筋ART(アート)展では、美術系大学や専門学校と鉄筋加工会社が協力して制作した作品をステージ上で紹介する。学生と鉄筋職人が生み出したアートの世界を堪能してもらいたい。作品は3日間展示する。午後には高校生が出場する鉄筋クイズバトルも開催する。鉄筋の基礎からプロ並みの知識まで出題し、工業系、建築系の高校生にクイズ王を目指してもらう。また25~26日には小学生対象の『キッズツアー』があり、企業ブースを回りながら鉄筋のプロによる解説を聞いてもらう。さまざまな切り口で若者に鉄筋への魅力を伝えたい」

――次回以降の計画は。

 「今回は経験がない中、手探りで企画を進めてきた。これだけの規模の展示会を開催するのは労力的にも厳しいので、次回開催はまだ未定だ。ただ部分的には、鉄筋技能大会やシンポジウムなどは継続して開催が可能と考えている。人材育成や情報発信など、鉄筋業界が発展できる方策はこれからも継続して実施したい」

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