【阪和興業の経営戦略】〈古川弘成社長に聞く〉EV化に対応「金属資源に重点投資」

鋼材扱い数量増加、経常益350億円視野

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――2017年度上半期(4~9月)は、鋼材や金属資源の市況が前年同期に比べて高水準で推移したことに加えて、国内での販売が好調だったことから前期に続き増収増益を果たした。

 「17年4~9月期の連結決算は売上高8369億円、経常利益122億円。期初に公表した18年3月期の業績予想のほぼ半分を達成でき、巡航速度で推移したと言える。個人的にはもう少し上振れを予想したが、下期にプラスアルファが出るよう努力していく」

――中計のテーマであるSTEADY(着実)、SPEEDY(迅速)、STRATEGIC(戦略的)という『〝3つのS〟へのこだわり』で見ても、目標達成に向けて着実に成果を残した。

阪和興業・古川社長

 「到達までのテンポが早まっている。この調子でいけば16~19年度中期経営計画で目標とする経常益350億円も十分に視野に入りそうだ。ステディーな本体の収益は、主力の鉄鋼事業で景気回復による鋼材扱い数量の増加、市況上昇による単価アップなどが奏功した。連単倍率が1・2倍であったのを考慮すれば、約100億円がステディーな利益となり、中計の最終目標の進ちょく率は50%を超えた」

 「スピーディーな関係会社からの収益も、約2割を子会社などが稼いだ格好となり、ほぼ予定通り。今期には亀井鉄鋼(愛媛県)や山陽鋼材(広島県)、近江産業(大阪府)のグループ化も実施した。『そこか』(即納・小口・加工)戦略により地に足を着けた稼ぎ方ができており、まだまだ伸びる余地がある」

 「ストラテジックな特徴ある資源投資では、20%弱を出資する合金鉄製造のサマンコール・クロム(南アフリカ)や、青山鋼鉄集団(中国)によるインドネシアでのステンレス事業などの生産計画が順調に進み、金属原料価格の上昇もあって好調だ。中計では出資した各社からの配当や持ち分法での経常利益が3年後に90億円寄与するとみているが、来年度にまずどれだけ出てくるかというわくわく感がある」

――今春にはJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)と共同で増資を引き受けたサマンコールをはじめ、炭酸リチウムメーカーのバカノラ・ミネラルズ(カナダ)への出資など、ストラテジックな投資への手綱を緩めていない。

 「中計の投資予定総額は500億円。前期は112億円を実行し、今期も既にサマンコールの136億円を含めて205億円を投じた。まだ年内は国内外合わせて50億円ほどの予定がある。500億円を上回りそうな勢いだが、財務的には想定内である」

――青山や他の海外案件の動向はどうか。

 「青山鋼鉄集団がインドネシアで製造するステンレスのホットを当社も今期から扱うようになった。生産規模はホットコイルで年間300万トン。今後は、このうち20~30%は世界中のリローラー向けに販売していきたい。この部分はステディーな利益となる。コイルセンター事業もインドネシアやメキシコ、中国・長富の3カ所で増強計画があり、さらに合弁での新設も検討している」

――欧州や中国で電気自動車(EV)にシフトする流れが鮮明化し、電池材料への関心が高まってきた。

 「当社はクロムをはじめ、ニッケルやコバルト、マンガン、リチウムといった金属資源に重点投資し、電池正極材の原料市場では存在感あるシェアを獲得している。今後はリチウムの取り扱いの拡大を狙うが、姿勢はあくまで分散型投資。EV需要の伸展ではまだまだ伸びる余地があり、ゆくゆくは『電池正極材原料の阪和』と呼ばれるまでに成長したい」

――国内事業や経営管理改革の進展は。

 「7月には北関東スチールセンター(群馬県伊勢崎市)が営業を開始した。コラムの在庫と開先加工から始めたが、三次元レーザ切断機も導入して高付加価値加工を武器に販路拡大を探っている。グループ会社の部品製造会社に賃貸する計画である第2期の工事は既に着工し、加工機能の充実を図る3期工事も計画中だ」

 「品質管理の徹底化を図るHKQC活動を継続し、課題の洗い出しと改善を進めている。まだ実験的運用ではあるがRPA(ロボットによる業務自動化)の導入を決定した。AI(人工知能)を活用して人為的ミスをなくしたい」(新谷 晃成)