高密度の異形鉄筋コイル「コンパクトコイル」、海外で普及進む=加工生産性が評価 トピー工業、市場の反応に手応え

 異形鉄筋を高密度でコイル状に巻き取った「コンパクトコイル」は、高い加工生産性と省人化メリットにより海外で普及が進んでいる。日本で鉄筋用の異形棒鋼と言えば大半が直棒だが、今年8月、トピー工業(社長・高松信彦氏)が、このコンパクトコイルを来年秋にも商品名「TACoil(ティーエーコイル)」として販売すると発表。国内メーカーによる生産・販売は初の商品であり、日本でもにわかにコンパクトコイルに対する注目が高まっている。

 コンパクトコイルは2000年以降に欧州で普及が進み、現在の欧州では鉄筋市場の約3~4割をコンパクトコイルが占めるとされる。近年は韓国でも急速に市場が広がりを見せ、現在は大韓製鋼と東国製鋼がコンパクトコイルを生産。D10~16の細物鉄筋市場の約2割がコンパクトコイルと、韓国では一般的な商品になっている。

 海外で市場を広げている理由には、コンパクトコイルと加工機を組み合わせた高い加工生産性が挙げられる。配筋やフープ筋など多くの手間がかかる細物を中心とした鉄筋加工の効率化は、どの国の加工業者も抱えている共通の課題。コンパクトコイルの加工には専用機の導入が必要となるが、加工作業の効率化によるコスト低減で投資額の回収が順調に進んでいることが市場拡大につながっているもようだ。

 トピー工業では来年秋のコンパクトコイル販売開始を発表後、「中部地区を中心に高い関心が寄せられている。従来お付き合いのなかった方からもお声掛けをいただけた。コンパクトコイルは鉄筋加工業の経営者が抱える効率化や省人化ニーズに応えられる商品になる」(販売担当)と、市場の反応の良さに手応えを感じている。

 同社の豊橋製造所(愛知県)では専用ラインの設置に向けて現在、建屋を建設中。設備投資はスケジュール通り進んでいる。また、同社は24日に幕張メッセで開幕する「鉄筋EXPO」に海外製のコンパクトコイルの実物を出展。国内メーカーとしてコンパクトコイルを初公開する。

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