自分は働きすぎかも…「うつ」にならない仕事の仕方

自分は働きすぎかも……そんな風に思うあなたにこそ読んで欲しい! 時間短縮のための仕事術。心身ともに休めてあげてください。

仕事によるストレスは、うつ病を引き起こす可能性もあります。 ここでは、「うつにならない仕事術」というテーマでお話ししていきたいと思います。

ただ最初に申し上げておきたいことは、「この記事を読んで、そのとおりにしたらうつには絶対ならない」という話ではないということです(言わなくても、ご理解いただけると思いますが……)。

仕事によるストレスからうつになる方が多いのは確かですが、それだけが原因ではないようです。その一方で、仕事から来る重度なストレスが原因と考えられる状態でうつになる方がいらっしゃるのも事実。

それに近い環境にいらっしゃる方にとって、なんらかの予防になればよいなと思って、記事を書かせていただきたいと思います。

ストレスがなぜうつを引き起こすのか

そもそも、なぜストレスがうつ病をはじめとして、私たちの心身に影響を与えるのでしょうか? その前提として、「うつ病は神経伝達物質の不足と関係が深い」という話をします。

人間の脳は多数の神経細胞から成り立っていて、神経細胞同士の間で情報交換がおこなわれています。神経細胞と神経細胞の間にはシナプス間隙というスキマがあり、その間を電気信号が行き来するのですが、その行き来をスムーズに行う役割を果たしているのが、神経伝達物質です。

そのなかで、セロトニンやノルアドレナリンという物質が不足すると、神経間の伝達がうまくいかず、憂鬱・億劫などといったうつ症状をきたすことが知られています。

では、なぜストレスによりそうした神経伝達物質が不足するのか? ストレスを最初に感じ取るのは脳の大脳皮質と呼ばれる部位です。別名理性脳とも呼ばれるところですね。そして、その刺激はもう少し内側の大脳辺縁系という部分で情動(感情の動き)に転化されます。つまり、不安とか悲哀といった感情に変わります。

そしてその情報は、大脳辺縁系近くにある視床下部を通じて、自律神経や内分泌に影響を与えるのです。そうした影響が心に出た場合の反応の1つとして、神経伝達物質の不足につながるということですね。

若干、ややこしい話が続きました。ここからは「では具体的にそのストレスを減らす方法は?」という部分に触れていきます。

質・量の両面からストレスに対処する

上記の話では「やっぱりストレスはあまり良くないのだ」ということを改めて確認しました。では、実際の仕事でそれを減らすためにはどうしたらよいでしょうか? ここからは、具体的な仕事術に入っていきます。

1. やるべきタスクは全部書き出す

やるべきことが頭の中にあるときは、えてしてプレッシャーが実際以上に大きく感じてしまうもの。「あれもやらないと、これもやらないと……」と焦りは大きくなってしまいます。

これが不思議なもので、やるべきタスクすべてを紙に書き出してみると、頭がスッキリ。「書き出してみると、意外と大した量じゃないな」と感じられることも少なからずあると思います(もちろん、書き出してみると、予想通り大変な量だったということもあるでしょうが)。

この「全部書き出す」ということは、GDT(Getting Things Done)という名で呼ばれデビッド・アレン氏という人が推奨しています。「GDT」でネット検索してみると、かなり詳しいことが書いてありますので、ご興味のある方は見てみてください。

2. 手をつける順番を決めてから取り掛かる

1に加えてオススメするのは、書き出したToDoのうち、今日手をつけるものをピックアップして、更にそれに手をつける順番を振ってやることです。

ストレスがたまるのは、ある仕事をやっていながら別の仕事が気になるという状態。PCはマルチタスクが便利ですが、人間が作業をやる場合はシングルタスクのほうが良いです。順番を振ったら、あとは順番どおりにこなしていきましょう。

3.「先送りできる仕事は何か?」を明確にする

1で全部の仕事を書き出してみたときに「それほど大した量じゃない」と思えれば、あとは淡々とやればよいのですが、書き出した結果その量に圧倒される場合は、もう少し次の手が欲しいところです。

そこでオススメしたいのは、ズバリ先送りです。先送りというと、あまり印象のよい言葉ではないでしょうが、「やるべきことを、やるべきタイミングでやる」というと正しく聞こえます。

考えるべきは「いますぐやるのと、先送りにするので、トータルでどちらがストレスがたまらないか?」ということです。

4.「この仕事は誰かにお願いできないか?」を考える

仕事でストレスがたまりやすい人の共通点の1つは、仕事を抱え込んでしまうこと。責任感が高いことは素晴らしいことですが、一方でストレスの直撃を受けやすいことも事実です。抱えきれない仕事は、誰かにお願いすることも考えましょう。

いざというときの準備を

5. 80点でOKとする

完璧主義になりすぎないことも、精神を削らない上で大切なことだと思います。仕事では100点でないとマズいものと、80点あれば十分なものがあります。決して、すべてのタスクで100点が求められているわけではないということを肝に命じることです。

6. 仕事はマニュアル化しておく

6は、いざというときのための準備です。仕事に余裕があるうちに、自分の仕事をマニュアル化しておきましょう。それほど手の込んだものでなくても、作業プロセスがわかるだけでも、とりあえずは良いと思います。

仕事に追い詰められてしまったときは、逃げ出したくなると思います。でも責任感が強い人であればあるほど「自分がいなくなると、周りが困るから……」となってしまいます。だから、自分がいなくなったとしても、なんとかなる準備をしておくわけですね。

ちなみに、このマニュアル化が進んでいると、4でお話しした「誰かに仕事を頼む」が活用しやすくなります。

7. 休む

どうしても疲れきったときには、何を差し置いても休むべきだと、私は思います。「そんなことはできない!」と思ってしまいますが、自分の身体は本当に大事。自分以上に自分の身体を大切にしてくれる人って、なかなかいないですから……。

ただ、いざというときに休めるためにも、6のような準備は必要だと思います。そのほうが最後のカードとして「休む」という選択肢を取りやすくなります。

まとめとして

ここでは「うつにならない仕事術」という、軽く扱えないテーマでした。繰り返しになりますが、「この記事を読んで、そのとおりにしたらうつには絶対ならない」という話ではありません。うつは、誰にとってもかかる可能性のあるもの。ぜひ、自分ごととして考えてみてください。

(文:野村 尚義)

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