CS敗退の阪神の戦力整理 生え抜きベテラン2選手ら引退、戦力外は3選手のみ

阪神の今オフの引退、戦力外、育成契約一覧

3年ぶりの貯金も広島とは10ゲーム差…CS敗退で悔しい幕切れ

 強力な救援陣を擁し、セ・リーグ2位に食い込んだ阪神。連覇を果たした広島には10ゲーム差をつけられたものの、78勝を挙げて3年ぶりに貯金を作った。クライマックスシリーズはファーストステージでDeNAに敗れて涙を飲んだが、一定の収穫も得た2017年シーズンだったのではないだろうか。

 2005年以来遠ざかっているリーグ優勝を狙う阪神は、来季に向けてオフの戦力整備に取り掛かっている。ベテランの高宮和也投手、柳瀬明宏投手、そして田面巧二郎投手の3投手に戦力外通告を行い、歳内宏明投手、横田慎太郎外野手の2人はリハビリのために育成契約に切り替えた。

 さらに長らくチームを支えた安藤優也投手、新井良太内野手、狩野恵輔外野手と、一気に3選手がユニホームを脱ぐことに。安藤、新井はそれぞれコーチに就任し、後進の育成に励む。外国人に関しては、メッセンジャーは2年契約のため残留。ドリス、マテオも残留濃厚とされているが、その他の助っ人とともに正式に発表はなされていない。

 ここでは今季限りで引退する選手や、戦力外となった選手の実績を振り返ってみる。

◯安藤優也(引退、2軍コーチ就任)
 プロ16年目。通算486試合登板、77勝66敗76ホールド11セーブ、防御率3.56。大分雄城台高から法政大、トヨタ自動車を経て、2001年ドラフト自由枠で阪神入り。1年目から17試合に登板し、中継ぎとなった2年目は51試合で投げた。2005年からは先発となり、2年連続2桁勝利をマーク。2008年には自己最多の13勝をあげた。2013年には中継ぎに再転向し、そこから4年連続で50試合に登板。今季の1軍登板は引退試合となった10月10日の中日戦の1試合のみだったが、プロ16年間全シーズンに1軍で1試合以上登板した。

新井は2軍コーチとして再出発

◯新井良太(引退、2軍コーチ就任)
 プロ12年目。630試合1253打数298安打40本塁打151打点、打率.238。広陵高から駒澤大を経て、2005年の大学生・社会人ドラフト4位で中日に入団。5年目の2010年に45試合に出てプロ初本塁打も放ったが、この年のオフに阪神へトレード移籍。兄の新井貴浩とチームメートとなった。移籍2年目の2012年には110試合に出場し、2桁の11本塁打を記録。翌2013年には119試合で14本塁打と成績を伸ばし、遅咲きながら覚醒を予感させたが、2014年以降は出場機会が減り、今季はわずか17試合出場にとどまっていた。

◯狩野恵輔(引退)
 プロ17年目。402試合783打数200安打18本塁打91打点、打率.255。前橋工から2000年ドラフト3位で阪神へ。強打の捕手として期待され、プロ4年目の2004年に1軍デビュー。2007年は開幕1軍を掴み、54試合に出場して3本塁打を放った。2009年には正捕手としてキャリアハイの127試合に出場。打率.262、5本塁打をマークしたが、この年のオフに城島が加入し、その座を奪われた。2011年に外野手登録に。2012年オフにはヘルニアのために育成契約となった。2013年途中に支配下に復帰すると、その後は代打の切り札としての起用が中心だったが、勝負強さを発揮。2015年、2016年は3本塁打ずつを放った。今季出場はわずか5試合止まりで、5打数ノーヒットに終わった。

◯高宮和也(戦力外)
 プロ12年目。通算194試合登板、6勝8敗21ホールド0セーブ、防御率5.50。大体大浪商高から徳山大、ホンダ鈴鹿を経て、2005年のドラフト希望入団枠で横浜(現DeNA)に入団。1年目に8試合に先発するなど18試合に登板したが2勝6敗に終わると、2年目以降は中継ぎに。2010年オフにトレードでオリックスへ移籍し、FA移籍した平野恵一の人的補償として2013年から阪神へ。2015年に左のワンポイントとして52試合に登板したのがキャリアハイ。今季は1軍での登板なく戦力外になった。

柳瀬は2年連続で戦力外に…

◯柳瀬明宏(戦力外)
 プロ12年目。通算218試合に登板し、11勝6敗52ホールド8セーブ、防御率3.32。如水館高から龍谷大を経て、2005年の大学生・社会人ドラフト6位でソフトバンクに入団した。1年目から中継ぎとして10試合に投げ、2年目には44試合登板で4勝1敗9ホールド2セーブをマーク。2010年に右肘のトミー・ジョン手術を受けると、1軍復帰を果たした2012年から3年連続30試合以上に登板した。だが、2015年から出番が激減。2016年オフにソフトバンクを戦力外となった後、阪神が獲得したが今季はわずか2試合登板に終わり、2年連続で戦力外となった。

◯田面巧二郎(戦力外)
 プロ5年目。通算4試合登板。0勝1敗1ホールド0セーブ、防御率6.23。桐生市立商業高校、日産自動車、JFE東日本と渡り歩き、2012年ドラフト3位で阪神入り。プロ入り後は2年間1軍登板がなく、2014年オフには育成契約に。2015年にBCリーグ福井に派遣されたが、2016年4月に支配下復帰した。同年に1軍デビューし4試合に登板したが、1軍の機会はこれだけ。今季は1軍登板なしに終わり、戦力外通告を受けた。

(細野能功 / Yoshinori Hosono)

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