被爆樹木2本 枯死 一斉点検で確認 長崎市

 被爆者や市議、樹木医などの専門家でつくる「長崎市原子爆弾被災資料審議会」(11人)が22日、同市内で開かれ、市は被爆樹木27本を点検した結果、「鳥嶋宅カシの木」2本のうちの1本と「稲佐国民学校クスの木」の計2本が枯死していたと報告した。

 市によると、保存対象となる被爆樹木は「被爆建造物等の取り扱い基準」で定めており、最重要のAランクが21本、Bランクが9本。市は昨年度に保存措置を施した3本を除く全ての被爆樹木について、樹木医との一斉点検を今年5月から初めて実施した。

 「カシの木」はAランクで高さ約2・5メートル。爆心地から1・6キロの淵町の個人宅敷地にあり、幹の一部が原爆の熱線で焼けて黒ずんでいる。「クスの木」はBランクで高さ約5メートル。爆心地から2キロの市立稲佐小グラウンドにあり、児童の平和学習に活用されている。

 審議会で市は、「カシの木」については現地保存か長崎原爆資料館で保存・展示するかを所有者と協議中で、「クスの木」については専用の薬剤を塗るなどして現地保存を検討していると説明した。枯死の原因は不明。また「カシの木」については樹木医の診断の結果、「イスノキ」だったと報告した。

 委員からは「今後は毎年点検をするべき」との意見が上がり、市は「定期的な点検は大切で、優先順位をつけながら実施したい」とした。

「稲佐国民学校クスの木」=長崎市内(市提供)
枯死が確認された「鳥嶋宅カシの木」=長崎市内(市提供)

© 株式会社長崎新聞社