日立金属、次期中期で安来の製鋼増強 製品出荷能力2割拡大

 日立金属は安来工場(島根県安来市)の製鋼能力を増強する。次期中期経営計画(2019~21年度)において、主力の大気溶解炉の増強により安来の製品出荷能力で2割拡大を目指す。リードフレーム材、工具鋼、ピストンリング材などの堅調により安来の製鋼部門はフル操業で、人員シフト増による上方弾力性の確保を進めている。中期的には工具鋼、産機材、電子材とも拡大する見通しで下工程の増産投資も計画しており、製鋼能力も増強する。正式決定はまだだが、「次期中期で戦力化したい」(佐藤光司特殊鋼カンパニープレジデント)考えだ。

 安来のニッケル系リードフレーム材は高い信頼性から主に車載用で伸びている。SHカッパープロダクツ(18年4月に日立金属ネオマテリアルと合併)の銅系リードフレーム材を併せ持つ強みもある。有機ELディスプレイ用背面板も伸びるため20年度までに帯鋼生産能力を増強する。

 工具鋼では新鋳造設備を活用した冷間工具鋼、1万トン自由鍛造プレスを活用する熱間工具鋼を生かしたグローバル拡販に取り組み、18年度以降は月7千トン規模を目指す。

 CVT(自動車無段変速機)用ベルト材、航空機・エネルギー材料の一次溶解は24トンVIM(真空誘導溶解炉)が主体で、特殊一次溶解の増強はほぼ出来上がっている。

 安来はIoT技術の活用を含めて生産管理体制の強化にも中長期で取り組んでいく。

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