日か米か…4割&MVP連発で陽岱鋼と並ぶヒーロー、台湾“大王”の気になる去就

「ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017」でチャイニーズ・タイペイ代表として出場した王柏融【写真:Getty Images】

2014年21U野球ワールドカップで一躍、時の人に

 11月16日から19日まで開催された「ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017」では、チャイニーズ・タイペイは0勝2敗で3位に終わったが、その中でベストナインに選ばれたのが、ワン・ボーロン(王柏融)だ。

 ワンは1993年生まれの24歳、右投げ左打ちの外野手で、台湾産南端の屏東県の出身だ。チャイニーズ・タイペイの民族は、大陸からやってきた外省人や漢族系本省人と、それ以前から居住する先住系本省人に大別される。王は先住系本省人に属する。先住系本省人には、アスリートが多い。NPBで活躍した郭源治、郭泰源、今も巨人で活躍する陽岱鋼も先住系本省人。ワンもその系譜の1人だ。

 高校時代までは無名だったが、名門中国文化大学時代に頭角を現し、2014年の第1回21U野球ワールドカップで代表に選出される。自国の桃園球場で行われたこの大会の決勝で、チャイニーズ・タイペイは日本と対戦する。ワンは「4番・右翼」で出場。4番・近藤健介、5番・鈴木誠也など、日本のトッププロスペクトを相手に、チャイニーズ・タイペイは9-0と圧勝する。この模様はチャイニーズ・タイペイ全土に中継され、母国の英雄、陽岱鋼夫妻が貴賓席から見守る中で、若いナインは一躍ヒーローとなった。

 チャイニーズ・タイペイでは、トップ選手がいきなりCPBL(中華職棒大聯盟=プロ野球)に入団することはほとんどない。有望選手は陽岱鋼のようにNPBを目指すか、王建民のようにMLBを目指すことが多い。このためアジア・ウインターリーグなどでもCPBLがアマチュア野球より弱いこともよくあるが、ワンは2015年6月、CPBLのLamigoモンキーズに入団した。この年のプレミア12にも出場し、18打数8安打1本塁打、打率.444を記録している。

台湾で雑誌の表紙を飾る人気を持つ王柏融【写真:広尾晃】

2年連続打率4割でMVP、海外移籍の噂も絶えず

 2015年は後半戦から出場したが、翌2016年にワンが残した成績は驚異的だった。

116試合483打数200安打29本塁打105打点 打率.414

 安打数と打率はCPBL新記録。新人王とMVPをダブル受賞し、王大王(ワンダーワン)と呼ばれ、一躍、陽岱鋼と並ぶ台湾のヒーローになった。雑誌の表紙を飾るなど、人気はアイドル並みとなる。

 2年目の2017年の成績もすさまじかった。

115試合437打数178安打31本塁打101打点 打率.407

 2年目は3冠王、文句なしで2年連続MVPに輝いた。

 2017年春に開催された第4回WBCでも、ワンは中心選手として活躍するはずだったが、Lamigoモンキーズが代表チームに協力しないことを表明。ワンも不参加で終わった。

 アジアチャンピオンシップはフル代表の大会ではなかったが、ワンは日本や韓国の若手たちに伍しての活躍が期待された。日本戦では、左腕今永の投球に攻めあぐねるシーンが見られた。2試合で6打数2安打はやや物足りない成績ではあるが、ワンがチャイニーズ・タイペイで頭抜けた選手であることは間違いない。

 プロ入り3年目にして、すでにCPBLでは全てをやりつくした感があるだけに、移籍の噂も絶えない。彼自身も、世界の舞台で活躍したい希望を持っている。

 ワン・ボーロンが活躍する次なるステージは、NPBか、MLBか。その去就が気になるところだ。

(Full-Count編集部)

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